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ビジネスフレームワークを使いこなす5つのポイント―任天堂「Wii」元企画開発者・玉樹真一郎

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“未来を変える” プロジェクトでは、記事の制作段階でさまざまな方と議論し、フィードバックをいただきながら、制作しています。その中で、フィードバックをいただいたWiiの元企画開発者である玉樹真一郎さんの「50人のビジネスパーソンに学ぶ「最高・最低のフレームワークの使い方」」に関するメッセージがとても示唆に溢れており、ぜひとも読者のみなさんに共有したい内容であったため、ご本人に了解を得て掲載しています。

玉樹真一郎さんが考える「フレームワークを使いこなす5つのポイント」について、ご覧ください。

任天堂「Wii」元企画開発 玉樹真一郎

PROFILE

任天堂「Wii」元企画開発 玉樹真一郎
玉樹真一郎
任天堂「Wii」元企画開発
全世界で1億台を出荷した「Wii」の企画担当。最も初期のコンセプトワークから、ハードウェア・ソフトウェア・ネットワークサービスの企画・開発すべてに横断的に関わり「Wiiのエバンジェリスト(伝道師)」「Wiiのプレゼンを最も数多くした男」と呼ばれる。2010年任天堂を退社。青森県八戸市にUターンして独立・起業。「わかる事務所」を設立。コンサルティングウェブサービスやアプリケーションの開発、講演やセミナー等を行いながら、人材育成・地域活性化にも取り組んでいる。2011年5月より特定非営利活動法人プラットフォームあおもり理事。2014年4月より八戸学院大学ビジネス学部・特任教授。

(1)フレームワークと「自分自身」のどちらが大切か?

【フ】フレームワークを利用した知的生産活動 【自】自分自身の思考を駆使した知的生産活動

これらの優先度(どちらが大切か?どちらを信じるか?)が 【フ】>【自】となっている時は、フレームワークの活用が大抵うまくいかないと感じています。

フレームワークはあくまで道具であり、時には効率的に答えっぽいものを 導いてくれる時もあるけれど、どこまで行っても道具以上ではないです。 例えば「フレームワークがこのように言っているから、これが結論です」と プレゼンテーションで伝えることをイメージすると、それが如何にふざけた話かが感じられるかもしれません。

知的生産活動の結果生まれた結論だけを欲しい場合、ついつい 「実はフレームワークを使って導いた結論だけど、自分が考えたってことにしちゃおうかなぁ…」なんて考えてしまうのも人情なのかもしれませんが… この罠にハマッた瞬間、その人は知的生産活動から下りたも同然です。

優先度はあくまで【自】>【フ】であるべきです。

ポイント1:フレームワークはあくまで道具と割り切り、自分自身の知的生産活動よりも優先度を低くする

(2)フレームワークを血肉にするには

率直なところ、僕が尊敬する知的生産活動家の皆さんは、全員フレームワークというものを使っていないと感じています。

しかし、フレームワークを嫌っている訳でもありません。フレームワークを血肉にしていて、無意識に使っている感覚です。例えば、以下のような流れをたどった人の話を聞いたことがあります。

ーーー

<うまくいかなかった時の流れ>

フレームワークは大抵世の中で認められているものばかり。一方、世の中で認められているものにはウソや不十分な主張が多分に存在している。だからこそ、フレームワークは基本的に「それは100%良いもの」ではなく「もしかしたら良いもの、かも?」ぐらいの猜疑心あふれた見方をしていた。

そんな状況なので、フレームワークを導入してみても 「失敗したらフレームワークのせいにしてやる」ぐらいの打算あふれた心境で取り組んでいて、実際にうまくいかないと間違いなく「このフレームワークは不十分だよなぁ」となってしまった。

結果的に、フレームワークは血肉にならなかった。

<うまくいく流れ>

フレームワークに対する猜疑心を一度捨てて、一度「喰らって」みることを試みた。フレームワークが含む主張を素直に受け入れて、すごく良いものだ!と信じこみながら実践してみた…しかしやっぱりうまくいかないので、くやしくて仕方なかった。それでも諦めきれないので、どうしてうまくいかなかったのか考えていると、「このフレームワークにはこの部分におかしな点があるのでは?」「このフレームワークは曖昧にごまかしている部分がある!」といった気づきがある場合があり、その時にひとつ分岐点があった。

  • フレームワークは一切手を加えるべきではないと考える
  • フレームワークを自分なりに変えてみようと考える

フレームワークを自分なりに改変してみると、結果はどうあれ「自分でフレームワークを消化して、血肉にした」という納得感があるので、結果的にフレームワークに対して好意的になれた。

たとえフレームワークそのものは使わないとしても、フレームワークの弱点や自分が意識できていなかった点といった個別でプライベートな論点をその後の仕事に活かすことができた。

一方、フレームワークを改変せずにいると、いずれ<うまくいかない流れ>のような心境へと変化してしまい、やがてはフレームワーク自体から遠ざかり、学びも得られなくなった。

ーーー

ここから得られる知見は以下の2点です。

ポイント2:フレームワークへの猜疑心を一度かなぐり捨てて、 いちど「喰らって」みる

ポイント3:フレームワーク実践後の失敗を自分なりに解釈することで、フレームワークそのものに限らず学びが得られる

(3)自分自身の思考を客観視する

前述のように複数のフレームワークと格闘していると、そのうち「この部分は自分の考えと似ている」といった部分的な共感を大抵のフレームワークの中に感じ取ることができます。そこからもう一歩踏み込んで考えてみると、自分自身の脳の中にも一種のフレームワークのようなものが脳内にあるかもしれないことに気付けるように思います。

  • いろんなフレームワークを学んでいるうちに、いかに自分はワンパターンな思考回路をしていたかに気付く
  • 自分の思考回路は、いくつかのフレームワークのパーツを主観的に勝手にパクり、組み立てているものだと気付く
  • さらには、自分の思考回路は、フレームワークと呼べないほどに 主観的で勝手な個人的主張によって強く動いていることに気付く
  • 自分の思考回路は、人様に見せられないほどに適当で、しかも形に落とし込めないほど抽象的なまま放置されたフレームワークで動いていることに気付く

つまり、誰かがその人の思考回路を客観的かつ明確な形に落とし込めたものがフレームワークとして世間に出回っていて、一方でまだ自分自身が明確な形に落とし込めていないものが自分の思考回路 だということになります。

ここまで来れば、あとは謙虚にフレームワークに接することが出来ると同時に、自分の思考回路の中にある「個人的主張」、言い換えれば「テキトーに思い込みで身を任せて考えていた部分」を把握するまではあと一歩です。

ポイント4:思考回路を明確な形に落とし込めているフレームワークを体験しながら、自分自身の思考回路を客観視すると一気に学びを得られるチャンスになる

(4)フレームワークに敬意を払う

フレームワークそのものは腹に落ちないにしても、「これを考えた人の問題意識は共感できる」と感じる時があります。フレームワークは数あれど、根っこにある「問題を解きたい」「世界を解き明かしたい」という想いは 自分と同じであることに気づくことで、不完全で不格好なフレームワークにも一種の連帯感というか、憐憫というか、とにかく「100%の敵ではない感じ」 のような想いを抱けますし、敬意という心地良い感情が持てます。

これがあるだけでも、雨後の筍のようにニョキニョキ世の中に出現する フレームワークをみるたびにイヤな思いをせずに済みます。

ポイント5:フレームワークに敬意を払うと、気持ちよくフレームワークと接することができるようになる

===まとめ===

フレームワークを道具と割り切りつつも、まずは「喰らって」みて、自分なりに改変して血肉にする作業を繰り返すことで、自分自身の思考回路を客観視できるようになると同時に、フレームワークに敬意を払えるようになり、敬意が持てるようになります。

ポイント1:フレームワークはあくまで道具と割り切り、自分自身の知的生産活動よりも優先度を低くする

ポイント2:フレームワークへの猜疑心を一度かなぐり捨てて、 いちど「喰らって」みる

ポイント3:フレームワーク実践後の失敗を自分なりに解釈することで、フレームワークそのものに限らず学びが得られる

ポイント4:思考回路を明確な形に落とし込めているフレームワークを体験しながら、自分自身の思考回路を客観視すると一気に学びを得られるチャンスになる

ポイント5:フレームワークに敬意を払うと、気持ちよくフレームワークと接することができるようになる

偉大な知恵であると同時に「ただの道具」でもあるフレームワークの二面性を意識してフレームワークと付き合うことが、楽しく学びながら知的生産活動をするコツのような気がしています。

[編集・構成] “未来を変える”プロジェクト 編集部

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