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30歳を超えたら、「学習法」を変えないといけない

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『“未来を変える” プロジェクト』では、記事の制作段階でさまざまな方と議論し、フィードバックをいただきながら制作しています。今回は月間150万PVを超える「仕事・マネジメント」をテーマにした人気ブログ「Books&Apps」を運営する安達裕哉さんに、「30歳を超えてからの学習」について寄稿していただきました。

PROFILE

ティネクト株式会社 代表取締役 安達裕哉
安達裕哉
ティネクト株式会社 代表取締役
1975年、東京都生まれ。Deloitteにて12年間コンサルティングに従事。大企業、中小企業あわせて1000社以上に訪問し、8000人以上のビジネスパーソンとともに仕事をする。現在はコンサルティング活動を行う傍らで、仕事、マネジメントに関するメディア『Books&Apps』を運営し、月間PV数は150万を超える

 

30歳を超えたら、学習方法を変えないといけないーー。昔、私はお客さんにそう教えてもらった。

———

前職、私の扱っていたサービスの1つは「教育研修」だった。そして、お客さんから決まって要求されるのが、「研修の費用対効果」だ。小さくない投資額であるから、費用対効果を気にするのは当然なのだが、今ひとつ私は釈然としなかった。

「教育」というのは、そんな短期的に成果が出るようなものなのだろうか。そういった教育は、実は単なる「訓練」であり、一定の動作を反復させ、それができるようになるだけの一種の「しつけ」にすぎないのではないだろうか。そう思っていた。

そんなある日、私は紹介を受け、あるIT企業を訪問した。「いい社長で、教育にもしっかりとした理念をもっているからぜひ」と言われ、港区のオフィスに伺ったのだ。

社長と対面し、話をした最初の印象は「よくいるIT企業の経営者」だった。曰く、「世の中を変えたい」「技術者が採れないので、社内で育成したい」「サービスを伸ばすためにマーケティングの発想を技術者にもってほしい」など、失礼ながらどこかで聞いたような話だった。

そこで、私もいつものように経営者の要望に対して、「どんなことが課題ですかね」「どんなスキルが求められますか?」「何を教育の目的としますか?」といった、当たり障りのない話をした。

経営者は技術者の育成が進まないことが課題であり、求められるスキルはコミュニケーションとリーダーシップ、教育の目的はプロジェクトマネジャーの候補者育成と言った。

私はプロジェクトマネジャー向けの研修を提案し、そして最後に、いつものように「費用対効果の高い教育をしますので、ご検討ください」と締めた。

これで契約成立、私は安心した。すると、「教育の費用対効果って、一体何なんですかね」と、突然聞かれた。若干戸惑ったが、よくある質問だ。私はテンプレート通りの答えを返した。「研修にかけた費用に対して、当初の研修の目的をどの程度果たしたかだと思います」。

社長は少し考え、口を開いた。

「うん、それはいいんだけどね」

「では、何が疑問なのでしょう?」

「コミュニケーションとか、リーダーシップって、身についたかどうかをどうやって測定するんだろうね」

「指標を決めるしかないですね」

「どんな?」

「研修後のレポートや人事評価、部下やメンバーからのアンケートなどで測定できる指標にするといった具合です」

「まあ、それしか無いよね」

「……」

私はその社長のモヤモヤに興味があったので、「正直に言おう」と思った。

「コミュニケーションやリーダーシップが身についたってどうやって測るのか、という以前に、自分でサービスを提供しておいてなんですが、本当の意味で研修でそういったものが身につくのかを考えないと、答えが出ないかもしれませんね」

「そう、そこなんだよ!」

社長は我が意を得たり、と言った様子だった。

「私が独立前に会社で受けた教育も、研修が中心だった。だからウチも今回、研修をやろうと思ったんだけど、本当にこれでいいのか、迷いがあるんだよね」

「…正直、旧来の座学研修でできることには限界があります」

「そう、座学やケーススタディ、あるいは読書以外に何か方法はないかとずっと考えてきたんだよ」

「……」

「20代までは、座学やケーススタディも役に立つだろう。経験そのものが少ないからね。でもリーダーになろうと言う人たち、30代が学ぶためには、もう一つ工夫が必要じゃないかと思ってね」

「確かにそうです」

「彼らに必要なのは、もっと抽象的なことをこなす能力、例えば経験の一般化、概念の創出といった、業務能力の一段上にある能力じゃないかと思ってる。だから、そういった能力をつける方法を探してるんだ」

「わかります」

「それで、私が思うのは『インプット中心』の研修から、『アウトプット中心』に教育を切り替える必要があるってこと。例えば、プロジェクトマネジメントのマニュアルを作って、実際に現場に適用したり、部下とのコミュニケーション促進のやり方を実際に自分で考えてやってみて、その結果について皆でレビューしあうとか」

「それは良さそうですね」

「抽象的なものを扱う能力は、いくらインプットを多くしても身につかない気がしてね。アウトプットをレビューすることでしか身につかないのではないかと思ってるんだよ」

その後、社長との間で、プロジェクトマネジャー研修ではなく、プロジェクトマネジメントの事例発表と、それに対するディスカッションを行うということでカリキュラムを変更することになった。

自分の実力不足を痛感したが、「良い話ができた」と私は社長に礼を言って別れた。

———

そうなのだ、「知識に関する知識」や「クリエイティビティ」、あるいは「概念を扱うこと」については、アウトプットをさせることでしか身につかない。それは「起業」や「語学」にとてもよく似ているのだ。

したがって、30歳を過ぎて能力をさらに磨こうというときには、もちろん「勉強できる場」も必要だが、むしろ「アウトプットを検証される場」が必要なのだ。

だが、アウトプットを検証されることはとても怖い。自分の能力が丸裸になるからだ。しかし、それをやらなければ、よくて現状維持が関の山だ。

30歳を超えたら、「学習法」を変えないといけない。「自分が試される場」にどの程度身を置けるかが、勝負である。

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