イベントを盛り上げる。勉強会・議論の場を効果的にする7つのポイント

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フェイスブックやツイッターなどを使って、興味・関心が近いひとと知り合うのが簡単になった昨今、そうした面々がリアルの場で集い、勉強会やワイワイと議論するイベントなどを開催する場面が増えています。

一方で「どういう風にイベントを運営したら盛り上がるか?」「参加者同士で自由闊達に盛り上がることができるには、どんな手順でイベントを進行したらいいか?」という点は、多くの主催者・開催側の面々が頭を悩ませる課題となっているのではないでしょうか。

そこで本記事では、過去1年に渡って、延べ10回の50人規模イベントを開催してきた本メディア運営チームが蓄積してきた効果的な勉強会、議論の場をつくるノウハウを7つのポイントとしてご紹介します。

“未来を変える”プロジェクトのイベントの様子
“未来を変える”プロジェクトのイベントの様子

今回のアウトラインです。

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それでは本文です。

イベントのコツ1:参加者の多様性を設計する

イベントの質の多くの部分は、参加者がどのような面々であるかによって左右されます。中でも特に重視したいのは「参加者の多様性」。イベントのテーマに関して、少なくとも2つの異なるグループが参加した方が、同一のタイプばかりよりも、自然に論点や会話の切り口が増え、会話や議論が盛り上がります。

そのための具体的な方法としてお薦めしたいのが「タイプ別の招待人数を決めた上での集客」です。

例えば、“未来を変える” プロジェクトで以前開催した「フレームワークが仕事にどう役立つか」というテーマの議論イベント(ワールドカフェ)では、「普段からフレームワークを使う面々」と「フレームワークを殆ど仕事に使っていない面々」という2グループを、それぞれ20人づつ招待・公募するというアプローチを取りました。これにより、フレームワークというものの有効性について、経験者は具体的な効能や、実際にどのように使っているかという視点を提供し、一方で普段あまり使わない面々は、なぜ仕事で使う場面が限定されるかなどの観点を提供し、双方とても盛り上がりました。

そこまで細かくグループを定義しない場合であっても「大企業に所属している面々」と「ベンチャーに所属している面々」といったようにざっくりとした切り口で参加者を集めても、全般的にかなりの多様性が確保され、イベント参加者には刺激が多く提供されます。

いろいろな分野の方が集まって多様性がよかったと思います(20代 女性)

普段なかなか接することのない業界の方々を集めてイベント開催することは、とても良い刺激となるので継続していただきたいです(30代 男性)

イベントのコツ2:冒頭に目的・プロセス・役割を明確にする

イベントの冒頭は、参加者同士が多少なりとも緊張し「今日は何をするんだろう?」「どんな風に進むんだろう?」といったことが気になっています。これらの内容が明確にならないと、参加者はいくら内容が充実した勉強会やイベントであっても、「次に何をするんだろう?」とソワソワしたり「結局、何のために今日は集まっているんだろう?」と、中身に集中しきれなくなってしまいます。

そこで、まず行うべきは、開始から5分以内に必ず、

  • 本日の目的
  • 本日の流れ
  • 参加者/プレゼンター/進行役それぞれに期待する役割

という3点について、パワーポイントなどを使って説明します。この部分、内容が概して抽象的になりがちなため、口頭だけでの説明は聞き流されてしまったり、きちんとイベントの趣旨が伝わらなかったりする傾向があります。パワーポイントなどの映写資料を用意し、スクリーンに映しながら読み上げることを徹底することが重要です。

イベントの主旨など初めにもってきたことでより安心感をもって参加できるようになると思いました(30代 男性)

イベントのコツ3:議論を刺激する目的で情報提供を行う

ある研究によれば、一方的なレクチャーや情報提供は20〜40分で大半の参加者が飽きてしまいます。折角、面白いバックグラウンドをもった面々が30人も50人も集まったのに、一方的に2時間くらい登壇者の話を聞いて、その後の懇親会で相互に初めて会話を交わす――これは、とてももったいないイベント運営です。

そこでお薦めしたいのが、前半30分程度に情報提供を行い、後半90分〜120分程を参加者全員による議論の時間に充てるという進行方法です。

この場合、前半での情報提供は参加者それぞれにとって「今日の議論をする上での刺激や参考になる観点」という位置づけになっており、聞いている時間から参加者は「俺はこう思う」「そういう観点でいうと、こんな事もいえるよな…」と、後半の議論に向けてしゃべりたい欲求と、思考の活性化が加速していきます。

例えば「若手×シニアのビジネス・コミュニケーション」というテーマでの議論イベントでは、前半の情報提供の時間に、「若手とシニアの時代背景の違い」「ベテラン商社マンが考える若手とのコミュニケーションの難しさ」といった内容が披露され、参加した面々は「時代背景といえば思い当たるのが…」ですとか、「逆に若手から見たベテランとのコミュニケーションの難しさは…」ですとか、刺激が増していく構造となっていました。

オープニングセッションは視点提供という意味でスムーズに議論に入れてよかったなと思いました(30代 男性)

情報提供が端的な紹介であったものの大変興味深くある程度のインプットは続けてもらいたい(30代 男性)

イベントのコツ4:結論を求めず、リラックスして拡散議論に終始できるようにする

ハーバード大学の「シックスハット思考法」などで指摘されるように、議論には、「拡散と収束を一度にごっちゃに行うと、たいして拡がらない」という特性があります。限られた時間、多様で初対面の面々が集まるイベントでは、拡散だけを徹底して行い、議論の収束を求めないことで、驚くほど話が盛り上がります。

そこで具体的にお薦めなのが「当日のイベント中には、一切のアウトプット、チームによる結論などを求めず、カフェのように好きなだけ話を拡散してもらう」というアプローチです。そして、議論した内容を踏まえた各人なりの結論や、新しく生まれたアイデアの収集などは、開催終了後に全員に依頼するアンケートの中で集約し、その内容を後日、運営事務局が参加者に共有するという流れをセットにします。

こうすることによって、参加者は「この場で考えたことは、最後にきちんと集約される」と感じ、深く熱中し、拡散する議論を楽しむことができるようになります。

イベントのコツ5:4人1グループで議論しメンバーを交換していく

「大勢の人が参加しているからこそ、できるだけ互いに議論したり、会話し合ったりして欲しい」というのは、多くのイベント運営者の願望ではないでしょうか。

ただ、全員が一気に一同に介して壇上に上がった人と議論したり、いわゆるパネルトークで3〜4人の登壇者と会場とのやりとりを期待しても、思ったほど盛り上がらない。大半の人は結局聞いてばかりになってしまう…そんな盛り上がりに欠けてしまうという悩みも多いかもしれません。

そこでお薦めしたいのが、4人で1つのグループになって議論を行い、そのグループを20〜30分毎にメンバー入れ替えを行うという方法です。この方法の詳細は「ワールドカフェ」としても知られています(運営詳細はこちらの記事などをご参照ください)。

最も重要なのは、必ず4人1組にすること。2人、3人だと、テーブルの誰かがいつも喋っていなければならないというプレッシャーが高まり、聞くことに集中できません。一方で、5人、6人と人数が増えると、聞き手に回る時間が長くなりすぎたり、特定の人ばかり喋っているという状況に陥ったりします。

“未来を変える” プロジェクトのイベントでは4人1組で議論し、メンバー入れ替えをして20分×4回行うという運営を導入してきました。そうすると1人あたり10人以上の人と会話・議論をする場面が発生し、参加者のイベントへの満足度はとても向上します。

ワールドカフェスタイルを初めて体験したが素晴らしかった(30代 男性)

ラウンドは4回行うのがいいですね!時間は押しますがぜひ続けてください(30代 男性)

テーブルを頻繁に回していた点はとてもよかったと思います。たくさんの人とお話しし、新しい観点などにふれるよいチャンスです(20代 女性)

イベントのコツ6:議論の区切りは照明のON/OFFで切り替える

こうして白熱した議論が続いていくと、運営上細かいけれど頭を悩ますのが、「議論を区切るときにどうするか?」という点です。折角のリラックスした雰囲気、白熱した状況であるにも関わらずストップするとき、進行側が声を張り上げたりするのは、こうした雰囲気を壊してしまいかねません。

そんな議論を一時中断するときにお薦めなのが「会場の照明をOFFにし、話が終わることを待つ」という方法です。この方法ですが、議論に入る前、イベントの前半のちょっとしたタイミングで会場の照明をOFFにしてみて、参加者に「議論が盛り上がっているときに、話を終わらせるときにはこういう風に照明をOFFにさせてもらいますね」と伝えることで、俄然本番での効果が高まります。

議論を終える際にも電気を消すことは良かった。わかりやすい(20代 女性)

運営面の工夫(電気で合図とか)がよかった(50代 女性)

イベントのコツ7:アウトプットの場をつくる

こうして盛り上がる議論を行い、さまざまな観点やアイデアが生まれたとき、必ず最後に実施すべきなのが「議論された内容を集約し、アウトプットをつくる」という作業です。イベントのアウトプットというと、いわゆる「イベント開催報告」のようなものが多く、当日の写真や「参加者同士が盛り上がった」といった内容になりがちですが、これらの内容は参加した人以外へのメリットがほとんどなく、折角の議論結果が活かされません。

効果的なのは「議論された内容を集約した記事を制作する」ことです。具体的には、

  1. 運営スタッフも議論の場に参加する
  2. 参加者へのアンケート結果をスタッフで読み込む
  3. スタッフ間でまとめの議論を後日行う
  4. 特定の1名が議論結果を記事としてとりまとめる

という流れです。

こうして集められた議論結果の記事には、参加した面々のさまざまな観点が織り込まれることとなり、魅力的なコンテンツが生み出されます。そうして、参加した以外の面々に役立つ内容を多分に含んだこれらコンテンツは、参加した面々によるソーシャルメディア上でのシェア・拡散も手伝い、多くの人に影響を与えるものとなります。

同時に、こうしてアウトプットがまとめられることを経験すると、次回以降のイベントに参加するにあたって、参加者は「当日は安心して議論の拡散をたのしめばOKなんだ」と、より運営側、当日の進行といったところに信頼感を高めることとなります。

実際に、本メディアにて過去にこうして制作した内容は、

  • 【新規事業に関する議論】⇒3071いいね/248はてぶ
  • 【学習に関する議論】⇒3498いいね/388はてぶ
  • 【リモートワークに関する議論】⇒2540いいね/274はてぶ

と、多くの反響をいただき、その次の回のイベント開催の弾みとなっています。

これから秋・冬を迎え、勉強会やイベントの開催などが増えていく時期に、こうしたポイントも参考にされてみてはいかがでしょうか。

【 イベント内容を活かしたコンテンツも併せてご覧ください 】
▼経験者たちが語る〜社内政治に頼らず事業開発を成功させる9つのコツ
https://doda-x.jp/article/166/
▼変化の時代の必須スキル 〜「5分で分かる学習好きの作り方」
https://doda-x.jp/article/133/
▼「オフィス」VS「リモート」世界の最先端企業に学ぶ未来の働き方8つの観点
https://doda-x.jp/article/125/

[編集・構成]doda X編集部

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