ベンジャミン・フランクリンに学ぶ〜目標を行動に定着させる方法

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2015年末に公開の記事「『1年の振り返り方』完全マニュアル」は、実に9,000以上のいいね!をいただき、5万人以上の方が閲覧する大反響となりました。

1年を振り返った後にくるのが、1年をどう過ごすかの目標設定。特に「目標は立てたものの、結局それで何も変わらなかった」というのではせっかくの振り返りも水の泡です。

そこで本記事では、年初の計画をどのように設定し、その内容を自分の一年間の行動に着実に反映させる有効な方法として「ベンジャミン・フランクリンの13徳目」というアプローチを、現代風にアレンジしてご紹介します。

今回の概要です。

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それでは、本文です。

ベンジャミン・フランクリンとは

ベンジャミン・フランクリンは、1706年生まれのアメリカの政治家。印刷業で成功を収めたあとに政界に進出し、アメリカ独立運動に多大な貢献を行い、アメリカ独立宣言の起草に携わった人物です。

その政治家としての功績の大きさも去ることながら、完璧主義で知られたベンジャミン・フランクリンは、「13徳目」というアプローチによって長期間に渡って自分自身を律し、自らの行動を思い描いているものへと導き続けたことでも有名です。

ベンジャミン・フランクリンの13徳目とは

ベンジャミン・フランクリンは、自らが貫くべき信念を、節制/沈黙/規律/決断・・・ といった13の項目にまとめました。特筆すべきはここから。これらの項目を日常の行動に定着させるために、以下のような工夫を行い生涯実行しました。

  • 各項目を守ったか破ったかの基準を明確で判別可能なものにする
  • 13項目を日時の確認表にまとめ、順守できなかった日を記録する
  • 毎週13の項目のうち1つを重点項目と定め、日々その遵守を意識する

この方法は、数多くのバリエーションでビジネスの世界、目標達成のための習慣付けの方法として世界中で応用されており、彼の伝記『フランクリン自伝』はこうした要素が相まって、米国でもいまだにベストセラーとなっています。

『”未来を変える” プロジェクト』のイベントに集まるビジネスパーソンからも、こんな指摘が過去にありました。

目的や目標を立てて、それに向けたプロセスや目標達成をすることが楽しさにつながるということを学びました(30代 女性 マーケティング)

なぜ目標を立てるのか。それは達成するためではなく、今からの行動を変えるため。(40代 男性 コンサルティング)

設定した目標を日々の行動に落とし込み、達成につなげるためのアプローチは年初にぜひ取り組んでおきたい内容かもしれません。

ベンジャミン・フランクリンメモを応用した年初の目標の作り方

それでは、実際にベンジャミン・フランクリンの13徳目を活かしたアプローチを使って年初の目標を作り、日々の行動への定着に落としこむ方法をご紹介します。

【ステップ1】自分が今年構築したい構造を書き出す

A4サイズの白紙と、ペンを準備します。そして、10分〜15分程時間を確保し、「自分が今年一年で成し遂げたいこと」というテーマで、簡単な絵を描いていきます。このイラストを使って、誰か他の人に自分の今年の目標を説明するという前提で描きます。

今回は参考に、『“未来を変える” プロジェクト』編集長の三石が描いた2016年の目標イラストを参考に進め方をご紹介します。

イラストのイメージ:1年の目標
イラストのイメージ:1年の目標

【ステップ2】口頭説明によるブラッシュアップ

上記のイラストを使って、実際に何人かの人に「今年自分が目指すのは、こういう目標」という説明を行ってみます。5分程あれば十分説明ができますので、何人かの方に付き合ってもらって試してみることをお薦めします。

口頭での説明を繰り返し、相手からのちょっとしたフィードバックや質問を受けることで、自分の中で今年の目標が定まっていきます。

先ほどのサンプルについては、三石はこんな目標を言葉として落とし込んでいました。

仕事で取り組んでいるメディアプラットフォーム(図の左側)が組み上がっていき、変化を楽しみたい人が集まり、ナレッジと経験がシェアされて、みんながその情報を拡げている状態をつくりたい。そこには、人と人との間で共創が発生し続けている。

それにあわせて、自分の家族(図の右側)がよりハッピーになる努力をしていく。この家族とのやりとりの中での試行錯誤で生まれた知見や気づき(自転車の絵は、子供がもっとランバイクを楽しむための試行錯誤や工夫を意味します)を、今度はメディアプラットフォームの企画に活かす。今年は、こうした仕事と家族とのよい循環をカタチにしたい。

【ステップ3】自分が変えなければいけない行動の洗い出し

自分の目標が定まり、ドキュメント化することができたら、今度は自分が変えなければいけない行動や元々行っていて、更に今年は強めたい行動を書き出していきます。思い当たるものを書き出していきます。これを7〜13個程書き出します。

例えば、三石の場合は、以下のような項目を「変えたい行動、強めたい行動」として洗い出しました(例示ですので3つ挙げさせていただきます)

発信「自分がメディアで実現することに巻き込むために、どんどん人に語っていく」

巻き込み「メディアの営みに対して、賛同してくれる人を増やし、いっしょに“変化を楽しむ”アクションをとる」

出会い「自分が馴染んでいない領域に敢えて出会いの機会をつくり、メディアプラットフォームに多様性を生み出していく」

イラストのイメージ:1年の目標

【ステップ4】項目が毎日達成できているかの尺度決定

上記の項目を洗い出したら、それを履行できているかどうかの、具体的な判断尺度を加えます。三石の例を基にすると、以下のような尺度を設定することができます。

発信「初めて会合などで出会う人には、3分であっても構わないので必ずメディアのコンセプトをプレゼンする」

巻き込み「賞賛や賛同を示してくれた人には、必ず具体的な次の予定の提案を行う」

出会い「慣れない場所や会合に出かけるとき、行こうか行かないか悩んだら必ず出る」

尺度を設定しておけば、難しく判断することなしに毎日スラスラとチェックをすることができるようになります。

【ステップ5】リスト化して印刷する

以上の準備が完了したら、下記のようなフォーマットに落とし込み、これを印刷します。

ベンジャミン・フランクリンの目標管理

▼リスト制作用テンプレートはこちらからダウンロードできます
https://doda-x.jp/uploads/check_template.pptx

そして、毎日夕方〜夜に5分だけ時間を確保し、もしも基準と照らし合わせて抵触する行動があった場合にはこれをマークしていきます。手帳を使っている方であれば、これを毎週はさんでおき、その内容を週末に振り返ってみましょう。

リスト化して印刷し、手帳にはさんでおく

実際の効能

最後に、このベンジャミン・フランクリンの徳目を活かした方法で毎日の目標を管理し、振り返りを行い続けることによる効能をご紹介します。

◯ 目標を妨げる特定のパターンが見つかる 

この方法でチェックをつけ始めると、自分が特に目標とする行動を行わなくなってしまうパターンを発見できるようになります。

先ほどの例でいえば、大物、著名人の取材を行うときに限って、ついつい相手に配慮をしすぎて、自分たちのメディアが目指す方向性を「発信」できずに面談が終わってしまうというケースが起きやすいことが判明したりします。

こうしたパターンが露わになってくると、対応・対策も立てやすくなるというもの。最初に取材シートとセットで、メディアの趣旨という提携資料をつけておき、それを読み上げるというきっかけとともに発信を行うといった是正策を行えるようになります。

◯ 一時的な混乱があっても目標をあきらめなくなる

多くの場合、年初に立てた目標を放棄してしまうのは、ものすごい繁忙期が訪れたり、他に自分の注意をひかれてしまう事象が発生したときが大半です。こうしたとき、どうしてもマークの量が多くなってしまったとしても、ただマークをつけ続けるだけで、自分自身が平時に戻ると、再びマークに注意が向くようになります。こうした「とりあえず、ただただ付けるだけでも良しとする」というスタンスで続けると、短期的な変動に左右されず目指している目標を長期的に達成することができるようになります。

◯ 自分の変化による周囲の変化に気づきやすくなる

この表によって普段の自分の行動が変化していくと、徐々に結果としての周囲の反応や、仕事面、プライベート面での出来事にも違いが生まれ始めます。

今回の三石の例でいえば、積極的にいつも「巻き込み」を行うようにすることで、徐々に自分が本当に会いたかった取材先と出会える頻度が高まっていくなど、日々の蓄積による成果を実感できるようになります。行動の変化・目標の変化を実行することで、受け取れる結果にも手応えが出てくると、その変化を自分自身もさらに加速させるようになります。

行為目標と結果目標の違いを明確化し、結果目標は線形的な経験を求め過ぎないほうが良い(20代 男性 金融関連)

との指摘があるように、長期間の蓄積による効果を体感できることには、大きな価値があります。

いかがでしたか? 年末年始につくった方向性、目標を定着させ、習慣に落とし込んでいく「ベンジャミン・フランクリンの13徳目」を活用したアプローチ。1年の始まりのこのタイミングで試してみてはどうでしょうか。

[編集・構成]doda X編集部

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