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40人のビジネスパーソンが絶賛した「1年の振り返り」完全マニュアル

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20世紀を代表する経営学者として知られる故ピーター・F・ドラッカー氏は、その著書の中で、トップレベルのビジネスパーソンであり続けるためのポイントとして、

定期的に自らを振り返り、次に向けた改善点を洗い出す。

ことを指摘しています。その中でも特に重要なのが、半年〜1年というある程度の期間をまとめて振り返り、その長期的な営みを再解釈し、新たな仕掛けについて思案を巡らせること。

そこで本記事では、さまざまな知見をもとに1年間を振り返る上で非常に効果的で、多くの気づきを得られる振り返り法をご紹介します。

そして、この振り返り法がどのくらい有効であるかを検証するために、実際に40人の現役ビジネスパーソンにお集まりいただき、4人×10組にて、この方法の有効性について検証しました。

今回のアウトラインです。

INDEX読了時間:5

それでは、本文です。

振り返り方法の概要

今回ご紹介する方法は、4人1組にて実施し、1人が60分ずつ自分の1年を振り返り、4人で合計4時間にて行うというものです。自分が振り返りの当事者であるときは、まず簡単に1年についての概略を説明し、残りの3人はその内容に対して質問や投げかけを行います。

振り返り会の構造

この人数構成、および進め方は、米国でのグループ・ダイナミクスの研究(4人1組が最も聞くバランスと話すバランスがよい)を背景とし、NASAなどでも採用されるアニータ・ブラウン氏らが提唱する「ワールド・カフェ」での話し合いの構造などを基に設計されています。これらを、多くの企業における研修や議論の場で実践された内容をもとにブラッシュアップしたものが、今回ご紹介する手法です。

振り返りの構造的な特長

この振り返りの方法は、以下の5つの構造的な特長を備えています。

振り返り会のメカニズム

1.【物語化して話すことによる再整理と再解釈】

自らの1年を、他の3人に対してあらためて語ることによって、1年間に行った一つひとつの行動や出来事を振り返り、整理し、再解釈し、その全体的なつながりなどを改めて考えることが促進されます。誰からのフィードバックが無くとも、言葉にして語ることでこの一連のプロセスがある種強制的に発生します。

2.【他者からのフィードバック】

同じ事実、流れを語ったとしても、異なるバックグラウンド、異なる観点を持っている他の3人からは、予想外の投げかけや解釈が行われ、それまで自分が捉えていたものとは異なる結論や示唆を、自らの1年の経験から引き出すことができるようになります。

3,【対等な構造】

参加者は全員、お互いのことを開示し、自らの振り返りを行うため、誰かが一方的にアドバイス役になったり、一方的に教えられる役になったりすることがありません。自らがフィードバックする立場であるときに一方的な態度を取れば、今度は自らがフィードバックを受ける立場のときに、そのしっぺ返しを受けてしまいます。この「対等」である構造が、お互いに肩書きや経験などに頼らず、オープンに話し合いができる環境を整えてくれます。

4.【4人というバランス】

4人1組の人数構成により、他の人の話を聞く時間と、自分が話をする時間がほどよいバランスに自然と保たれ、進行役が存在しなくても、自然と会話が進行します。誰も「自分がリードしなくては」と気負う必要がなくなるため、自然でゆったりとした振り返りが可能になります。

5.【他者経験から学び合う】

自分以外のひとの振り返りを聞き、そこに対して質問をすることで、相手の経験や一年間の学びから、新たな観点やヒントを得ることができるようになります。特に、自分も抱えている課題感や悩みなどについては、他のひとの経験に類似点を見出したり、そこでの他のひとの対処法から、自分にとっての新たなヒントを得ることができます。

振り返りの具体的手順

ここでは、具体的にどのような手順で振り返りを行っていけばいいのか、仔細にご紹介していきます。

手順1:参加者の募集

まず、振り返り会を開催しようと思い立ったら、自分以外に3人、振り返りに適したひとを招待し、開催の時間を確保することから着手します。ここで重視すべきは、下記の要件を満たしたひとを集めることにあります。

【集めるメンバーが満たすべき条件】

  1. 自分も含め、直接に利害関係が無いメンバー同士であること
  2. 全員が、自分自身について振り返りを行いたいと思っていること
  3. お互いに異なるバックグラウンド・観点を持っていること

具体的には、フェイスブックなどに上記の内容を記載して、参加を希望するひとを募ったり、あるいはこれに該当しそうな友人一人ひとりに、順次声を掛けていくという集め方をしていきます。

例えば、以下のような投稿です:

フェイスブックでの投稿

手順2:時間と場所の確保

開催するメンバーが決まったら、その時間確保を行います。開催時間ですが、1人あたり1時間、4人で4時間は確保したいところです。これに加え、一人ひとりの間に10分程度の休憩を加えると考えると、5時間連続したスケジュールを押さえるのが望ましいです。

場所については、雰囲気のある喫茶店など、4人で座れるテーブルを確保するのがお薦めです。会議室などで行うよりもリラックスし、自由な思考や会話を楽しめます。

手順3:事前の宿題

開催当日前に、各人が以下のような振り返りシートのフォーマットを使い、過去1年の自分について紹介しやすいように情報を整理しておきます。口頭で「今年1年は、まずこんなことがあって、次にこんなことがあって・・・」と説明しやすいように、主だった自分の取り組みやイベントを記載。同時に、3カ月ごとの自分の状況を簡便に説明したメモなどを作っておくことで、当日の説明が行いやすくなります。このメモをテンプレートに沿って手書きまたはPCなどで制作したら、その振り返りシートを当日自分の分を持ち寄ります(PCで制作していれば、プリントアウトして持参します)。

図:振り返りシートの記入例
図:振り返りシートの記入例

▼振り返りシートのフォーマットのダウンロードはこちら

https://mirai.doda.jp/uploads/review_sample_year2015.pptx

振り返りシートテンプレートの概要は以下のとおりです:

  • 一言メモ:その期間について、大まかにどんな時期だったかの簡単な振り返り内容を記します。
  • 大きなイベント:自分にとってインパクトの大きかった出来事を洗い出します。
  • 注力したこと:どの期間に、どんなことに注力したかを矢印で記します。注力度合いによって、矢印の太さを変化させます。
  • 記号:あらためて、それぞれの時期(3カ月ごと)について、総括して一言で言うと何だったのか?というキーワードを記します。
  • キーの人物:それぞれの時期について、主に自分に強い影響を与えた人物を書き出します。

 

手順4:当日の環境準備

振り返りを行うときは、中央にテーブルなどを置き、その上に大きな模造紙を広げます。そして、模造紙に自由に書き込みができるようにPOSCAなど大きめの色ペンを複数準備します(喫茶店など環境によっては大きめの画用紙を持ち込むなどが現実的な場合もあります) 。

全員が揃ったら、当日の時間配分を決め、「振り返りをしたくなった順番」で一人ひとり振り返りを開始します。このとき、じゃんけん、あるいは「右回りで」などと順番を決めて行うと、お互いに強制的に実施する雰囲気が強まり、振り返りの雰囲気を損ねてしまう恐れがあるため、あくまで自主的に行いたい順で振り返りを行っていきます。

 

手順5:当日の振り返り

以上の準備が整ったら、以下の表の手順で、一人ひとりについて振り返りを行っていきます。

振り返り風景
順番 項目 振り返る具体的な内容
1: 1年間の流れを語る 発表をするひとは、事前に準備した1枚メモを全員に見せながら、簡単に1年の出来事を時系列に沿って説明していきます。事実の羅列だけではなく、まず何が起きて、そこでどう判断し、次にどうしたかという物語として語っていきます。
2: 周囲による深掘り質問 発表者が1年の流れを語っているときに、他の3人は、より深く何が起きたのか、どう思ってそうしたのかといった、その物語に関する深掘り質問を行っていきます。この際「そこはもっとこうすべきだったのでは?」といったアドバイスや批判・指摘はしません。
3: 発表者からの質問 発表者は、1年の説明を終えたら、自分としての総括や悩んでいる点、アドバイスが欲しい点などを、他の3人に問いかけます。他の3人は、そこに対してアドバイスやコメントをしていきます。
4: 発表者によるまとめ 残り時間が5分程になったら、発表者はそこまでの振り返りをしてみての、最後の感想などを語ります。
5: 他の3人からのコメント 他の3人は、発表者の振り返りに関する自分の感想やコメント、アドバイスなどを自由に述べます。

 

 

上記の1〜3についての時間配分ですが、1と2をあわせて30〜40分程度使うのがバランスのよい振り返りになりやすく、それより短い場合には1年の振り返りについてもう少し仔細に述べてみてみるのがお薦めです。

なお、進行中は全員の目に見えるところに残り時間が分かる時計やタイマーなどを置き、可能であれば終了5分前に一度アラームが鳴るようにしておくと安定的に進めやすくなります。

この方法で1人についての振り返りが終わったら、次の2人目の振り返りを、同様の手順で行っていきます。

手順6:振り返りのまとめ

こうして4人全員の振り返りが終わったら、各人、そこまでに自分で書き込んだ紙をスマートフォンなどで写真撮影し、途中で書いたポストイットのメモなどをとりまとめて持ち帰ります。

そして、お互いにどのような学びや発見があったかなどを、各人が1週間程度でメモにし交換しておくと、その学びなどが長期的に記憶に残りやすくなります。

振り返りをより効果的にする質問集

上記のようにお互いの振り返りを行う際には、投げかける質問の質が大きく話し合いを深めるきっかけとなります。

多様なメンバー構成により、各自の観点で出てくる質問は最もパワフルでよい振り返りのきっかけとなりますが、その補助として以下のような質問を参考にするのもよいかと思われます。

カテゴリー  振り返りの具体的な質問例
時間の流れを思い出してもらう質問・物語としての振り返りを促す質問 「最初に何をして、次に何をして、というところを流れで教えてもらえますか?」「(話の途中で)次に、どんなことが起きたんですか?それを受けて、次に何をされたんですか?」
意欲が高まったこと・関心が高かったことを洗い出す質問 「特に頑張ったのは、どのあたりですか?」「嬉しかったこと、好きになったことを教えてください」「もう一度やってみたいことは、ありますか?」
試行錯誤を通した発見を洗い出す質問 「このときに、工夫したところはどこでしょう?」「よく考えたな、我ながらいいなと思うのはどんなことでしたか?」
重要な学びを浮かび上がらせる質問 「初めに予想したことは合っていましたか?予想した方法は良かったですか?」「この期間を通して、分かった、できた、できるようになったことはありますか?」
仕事仲間や周囲からの学びに焦点を当てるための質問 「他のひとの考え方や表し方でなるほどなと感心したことはありますか?」「他の人の考え方や方法で、今後真似したいなと思ったことはありましたか?」
学びを総括するための質問 「いろいろな考えをまとめて、同じだなと思うところはありましたか?」「今年学んだ中で、一番大切だったと思うのは何ですか?」「一年前の自分に会ったとしたら、何をどんな風に教えてあげますか?」
随時、会話を深めるための質問 「もう少し、詳しく教えていただけますか?」「どんな人が関係していたんですか?」「そのとき、どう思ったんですか?」

 

振り返り会の参加者の声と効能の紹介

最後に、この方法で実際に40人(10テーブル)にて振り返りを行った参加者がどのような効能を感じたのかをご紹介します。

◯ 自分の一年間を振り返り、語ることに関して

直近の一年について「目の前の山をただひたすらに乗り越えてきた」と思っていましたが、振り返ってみると、その瞬間瞬間の判断の根底には、長い期間に及ぶバックグラウンドの影響があるんだなと気づきました(20代 男性 分析系ベンチャー創業メンバー)
自分の中で言葉に落としてアウトプットすることで考えが整理され、腹落ちすることが多かった(20代 男性 人材関連)

◯ 他者から投げかけられる観点に関して

仕事に関して、自分は好き勝手にやっている気がしていたが、まわりに気を使っていることを指摘されました。自分でも気づかなかった一面に、気づかされました(40代 男性 大手ITベンダーマネージャー)
バックグラウンドがまったく異なるからこそ、気づきが多かった。外部の利害関係の無いひとたちからのインプットなので、よい内容だと素直に受け取れた(30代 男性 マーケティング)

◯ 他者経験から学び合うことに関して

4人でいろいろな話をして成功体験や価値観をシェアすると、自然に共通点や共感できる要素が浮かび上がってきました。「なるほど!」「うーん!」とものすごく深い納得感、腹落ち感がありました(20代 女性 大手都市銀行)
みなさんの発言で自分に当てはまることも多く、初めての場とは思えないLearning(学び)がありました(40代 女性 大手外資系ソフトウェア会社マネージャー)

◯ 対等な場に関して

振り返りを通して、自分の成功・失敗を受け入れることができました。テーブルの誰もがオープンであると分かっているので、雑念や邪念が消えたのだと思います(40代 男性 金融系ベンチャー立ち上げメンバー)

いかがでしたか? 年末年始の時間を利用して、仲間内、あるいは知り合いに声掛けをし、じっくりと一年を振り返るひとときを過ごし、新年に向けた準備を進めてみるのもよいかもしれません。

[編集・構成] “未来を変える”プロジェクト 編集部

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