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未来のビジネスパーソンを育てる目標管理術

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目標管理という言葉の意味するところは、「目標と自己統制による管理」です。メンバー自身に自己管理を行ってもらい成果を上げることが、目標管理の正しいあり方。しかし、実際は管理側が目標を決め、メンバーを管理するということに陥りがちです。では、メンバー主導で目標をもち、自己管理できるようになる秘訣は何か。自発的に動き、高い目標にチャレンジするメンバーを育てる目標の持たせ方について元消費財メーカーマーケティング部部長(40代)の方に寄稿いただきました。

PROFILE

元消費財メーカーマーケティング部部長(40代)
元消費財メーカーマーケティング部部長(40代)
某外資系ソフトウェア会社Eコマース事業立ち上げ。その後、消費財メーカーのデジタルマーケティング部部長を経て、現在はグロースハッカーとして活躍。また、i-commonに所属し顧問としても活動中。

自発的に行動できる部下を育てる、絶妙な目標の持たせ方

「いままでの自分は完全に上から目線で部下に接していて、相手を機械か何かと勘違いして完全にコントロールしようとしていた。間違っていたと気がついてから、ずいぶんいままでの自分が恥ずかしかった」という声があります。

気がついた理由として、どのようなものがあるかを尋ねると歴史的な話から影響されたという答えが多くみられました。「してみせて、言って聞かせて、させてみる」とは、当時瀕死状態にあった米沢藩の奇跡の復活を成し遂げた、屈指の名君として名高い上杉鷹山公の言葉です。これより時代は進み、明治、大正、昭和の中で山本五十六元海軍大将というこちらも高名な人物が生まれました。いわく、「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば人は動かず」。通常、軍隊と言えば上官からの命令は絶対であって、そこに異論のはさまれる余地なしと考えられそうなものなのですが、この言葉を聞いてみると決してそうではないのではないかと感じ、これまでの部下に対する接し方を変えたという方は少なくありません。

今回は、江戸から昭和にかけて活躍した2人の偉人の言葉から、未来につなぐことができるひとの育て方、目標の持たせ方について考えてみたいと思います。

行動経済学からのアプローチ

行動経済学は、実際の人間の行動を元にどのような行動や目標を持つかという実践経済学的なアプローチを試みる学問です。この行動経済学の観点から、部下に対するモチベーションを考えてみます。

ある研究機関で、騒音ボリュームを大音量で発する中で業務を行うという実験がなされました。2つのグループに分かれ、ひとつは被験者が音量を変更できない状況下で行い、もう一方は、被験者が音量調節自体は可能だがそれを変えることなく最後まで実施しました。

結果、驚くべき違いが現れたそうです。それは、自分たちで音量を変えることができる物理的状況に置かれたグループはそれほど効率を下げず、精神的負担が少なかった反面、自分たちが物理的にも変更できない環境下におかれたグループは作業効率が著しく低下し、精神的な負荷も高かったという実験結果になりました。

このように、ひとは自己決定できる環境と一方的に与えられたイニシアティブを完全に喪失された状況では大きな差異があるという明確な結果が生じたのです。このことから、自己決定ができる余地を残しておくことの有用性が立証されたといえるのではないでしょうか。

実際、期限の設定がタイトすぎてすべてを自分で決めて作業化してしまったときに、業務完了後の部下の顔色はひどかった反面、自分はそれほど苦痛ではなかった記憶があります。そのときにこれを知っていればもう少しうまく対応できたという後悔があります。いずれにしても、偉人たちの言葉は研究でも実証されました。

人を育て、生かすならシェフを目指す

このように自己決定の余地を残しながらも、より良いものにしていくためにはどのようにすればよいでしょうか。私は、シェフの行う料理の手法を取り入れることが1つのヒントになるのではないかと考えています。

例えば、果物なども天候によって左右されます。きれいに実を結ぶこともあれば、少しいびつだけど味はいいものもあります。これらはすべてシェフの腕次第です。ここに人材活用の極意があるのではないかと考えています。

1. 食材の特性を見極めて、その素材を生かす、引き出す料理を考える

くせの強い、アクのある人物は一定程度います。しかし、だからそれが悪いと考えるのではなく、どのように生かすかで変わるものです。食材の責任にするのはシェフとしての技能が自分で足りていないと言っているようなものと、反省と研究を積むことから始めます。

2. 良し悪しではなく相性を考えることができなければ料理が台無しになる

組み合わせでおいしくなることもあれば、まずくしてしまうこともあります。食材それぞれが悪いのではなく、どうしても相性というのはあります。ひとのみでなくプロジェクトや職域なども考慮して全体構成するのもシェフの力量ではないでしょうか。

3. 料理の基本はひとに満足を与えること

とはいっても、最終的にはすばらしい料理にして食べる方に喜んでもらわなければなりません。そのためには食材自らも協力しなければなりません。そこで、食材として(スタッフとして)どのように満足を提供したいのか(就労の意義)という、エンドユーザー視点からのアプローチで目標計画を立ててもらいます。このことで、上司や会社という立場からの上から与えられた目標というよりも、お客さまに対する満足に自分がどのように貢献したいのかを考えてもらうのです。

時代は現代から未来へ

「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば人は動かず」地位も、名誉もあるような人物でさえこのような悩みを抱えているのですから、現代においてひとが思うように動いてくれないのも当たり前と言えば当たり前なのかもしれません。

しかし、次のことを学ぶことができました。「自己決定の余地を残すことで負担が少なくなる」「食材と同じように考えてアプローチを試みる」「エンドユーザー目線で目標設定してもらう」ということです。最終的に食材からシェフになってもらうためには、やはり食べてもらうお客さまのことを若いうちから意識することが目標達成にも、自発性の涵養にも有効だと思います。彼らが未来のシェフになるのですから。

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