口下手でも大丈夫!ユーザーヒアリングを成功させる4つの指標

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新しい商品を開発するチーム、既存の商品やサービスの運営・改善を担当している立場のひとなど「直接ユーザーから意見を聞く」「本音を引き出す」という技術は、仕事の上でとても重要な要素です。

一方で、大きな組織に所属していたり、これまで開発やサービスの裏方を担当してきたひとにとっては、直接ユーザーに意見をヒアリングすることは、なかなかに勇気がいるもの。「お客さんと会話が、盛り上がるんだろうか?」「ヒアリングの中で下手に怒らせて、トラブルになったりはしないか」など、ユーザーヒアリングに慣れていない方ほど、不安な気持ちになってしまうのではないでしょうか。

そこで今回は、普段営業の仕事などをしておらず、口頭でのコミュニケーションに自信がない方であっても、円滑に、そして驚くほど深く、ヒアリング相手の意見を引き出すことができるポイントをご紹介します。

今回紹介する手法は外資系大手消費財メーカーや金融ベンチャーなど、“未来を変える”プロジェクトに関わるさまざまなビジネスパーソンが持っているユーザーヒアリングのコツをとりまとめたノウハウ集となっています。

今回のアウトラインです。

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それでは本文です。

4つの指標を意識すれば口下手は関係ない

熟練した達人たちのユーザーヒアリング術
熟練した達人たちのユーザーヒアリング術

口下手な人がユーザーヒアリングをしようとしてハマってしまうのは「なるべく相手と打ち解けなければ」と気を使ってしまい、それが逆に自分の緊張を高め、ちぐはぐなやりとりが続いてしまうというパターンです。

多くの熟練したユーザーヒアリングの達人は、上記のように「まず相手からの信頼を獲得する」「次にリラックスしてもらう」「そしてだんだんと話に熱中してもらい」「最後にぐいっと本音を引き出す」という手順を踏んでいきます。

家族や親しい友人とは会話がリラックスするのも、互いに相手のことが解っているからこそ。いきなり知らない人とリラックスして話すことは誰もできません。まずは安心して話せる状況を創りだし、そこから手順を踏んでいき、最終的にユーザーヒアリングの目的である「ユーザーの本音」を引き出す手順を、ぜひとも習得してください。

ヒアリングの指標1:定型のやりとりで【信頼度】を引き出そう

まず最初に行うのは、相手から自分への【信頼度】を高めることです。そのために効果的なのは、下記の5点をユーザーヒアリングの冒頭に、必ずすべてカバーして説明することです。

  1. 匿名性の担保:「あなたのお名前などは全て匿名化させていただき、チームなどに共有するときも“◯◯ということを言っていたユーザーの方がいた”としか伝えません」
  2. 終了時間の確認:「◯◯時◯◯分までの90分でよろしかったでしょうか?この直後に待ち合わせなどをされてはいませんか?」
  3. 簡単で楽しいということの伝達:「難しい話といったものはお聞きしません。雑談だと思って、リラックスしてください。他にヒアリングを受けた方も、楽しかった、と最後はおっしゃってました」
  4. 自己紹介:「私は、この製品・サービスに関して◯◯を担当しているものです。いつも、お客さまの生の声を直接お聞きする機会が少ないため、こうしてヒアリングをさせていただいています」
  5. 簡単な調査主旨の説明:「本日の調査は、簡単に言えば◯◯についてざっくばらんないつもの感想をお聞きしたいというものです。こちらからいくつか質問をさせていただきますので、直感的にお答えください」
  6. 1〜5を説明した上で気になることの確認:「以上が、ヒアリングを始める前の一通りのご説明です。何か、気になることなどありませんか?」

実は、これら6つの説明には、ユーザーヒアリングを受けるひとが心配になること、不安に思うことを和らげる要素が入っています。例えば、3の簡単で楽しいという説明は、暗に「このヒアリングは他のひとたちも受けているんだ」という安心感を与える要素を含めています。

逆に、これらの1つでも説明を怠ってしまうと、熟練したユーザーヒアリング担当者であっても、相手が不安になってしまい、上手く話が進まないということが起きてしまいます。

お薦めなのは、これら6つの要素は、ユーザーヒアリング時にそのままプリントアウトして手元に持ち、読み上げていくという方法です。

そして、本当に自分自身が最初緊張していたら「すみません、私もヒアリングのときに緊張してしまうので、忘れないように全部読み上げさせていただきますね」と添えると、相手の方との関係が和らぐきっかけになったりします。

ヒアリングの指標2:お約束の方法で【リラックス度】を高めよう

最初の指標【信頼度】が、冒頭の説明で上がると、それだけで会話の雰囲気は和やかなものになります。ここでさらに少し努力して、相手の【リラックス度】を上げていきましょう。

そのための1つの方法は、自分なりの「相手と打ち解ける鉄板の話題」を作っておくこと。例えば、以下のような方法があります。

  • ユーザーヒアリングの場に、コンビニエンスストアなどで買ってきた、新作のドリンク、あるいはお菓子を数種類用意しておく。そして、「最近はこんな新作があるみたいですねえ」という風に話を振ってみる。
  • ユーザーヒアリングの会場に来るまで道が分かりやすかったかどうか、どんなものが途中で気になったか、などを質問する。ヒアリング会場が自分のオフィスである場合などは、こうした道すがらにあるものについて、相手が挙げたものにちょっとしたコメントを添えることなどができる

こうしたルーチンを自分で2〜3ほど持っていると、だんだんユーザーヒアリングの経験を重ねるうちに「この相手にはこの話題を」といった出し入れができるようになり、相手の【リラックス度合い】を引き出しやすくなります。

ヒアリングの指標3:聞く順序を工夫して【熱中度】を上げていこう

ユーザーヒアリングの本題に入ったら、相手が自分とのやりとりにのめりこんできて、自然と話をしてくれるという【熱中度】を上げることに注力します。

そのための最も確実な方法は、ユーザーヒアリング時間全体の30%ほどを使って、最初に「普段どのような仕事をしているか、普段の一日をどのように過ごしているか。そして、その中で今回の製品やサービスを、どのように使っているか」という、時系列の話を聞いていくという方法です。

これには、2つの効能があります。

まず第一に、誰でもこの質問を受けると、単純に自分がこれまで経験してきたことを思い出しながら、それを語ればいいので、回答が簡単です。こちらの聞き方がつたなくても、どんどんとご自分の話をしてくれます。こうして、自分からどんどん話をしていくと、ひとはだんだん自分自身の話にのめり込んでいきます。

第二に、こうして過去の経験を思い出していくと、そのひとの頭の中は「何か役に立つような鋭いことを答えなければ」といった左脳的なモードから解放され、自然と自分が普段感じている体験や、感覚的なところが頭の中のメインになってきます。

こうして、相手の方がその経験や過去の流れなどを語り始めたら、ヒアリング側はその内容をしっかりと聞き、余計な質問をせず、相槌を中心として、できるだけ自分自身がその内容を「追体験」していくように心がけます。具体的な質問や、特定の部分についての深掘りは、この「過去の経験の紹介」が一通り終わってから行いますので、ここでは無理な質問は避けます。

どうでしょう?いつの間にか、相手の方は自分自身の話に夢中になっていませんか?

ヒアリングの指標4:練り上げた質問で【本音度】を引き出そう

こうして、相手の方が一通りの話をし、十分に【熱中度】が上がったら、ここからこちらが本当に聞きたいこと、知りたいことを聞いていきます。

そのためのコツは、以下の3点です。

  1. ユーザーはきっとこう思っているんだろうな?という仮説を最初に自分たち、チームで妄想として組み立てておき、それが合っているかどうかを確認する心持ちで行う
  2. 上記の中でも、特に白黒はっきり付けたいことについては、具体的な質問文をつくっておき、それをユーザーにぶつける
  3. ユーザーには「好きか嫌いか」「良いか悪いか」という点を必ず聞く

ユーザーヒアリングを行うとき、これらの作業を事前に行っておくと、自分が、あるいは開発チームが何にモヤモヤしていて、何を本当に知りたいのかが明確になってきます。こうして目的を明確にしておくと、同じ話を、同じユーザーに聞いてみても、全く得られるものの量が異なってきます。

上記の1〜3については、エクセルシートなどにまとめておき、それを印刷したものを手元においておきます。そして、相手とのやりとりの中で結論が出たものについては、その内容をドンドン埋めていくと、抜け漏れが発生することはありません。

なお、多くのヒアリング熟練者に聞いていくと、こうしたユーザーヒアリングは、同じような属性のユーザー最低でも5〜6人に行い、個人個人が持っている特別な観点などを打ち消していくと、本当に多くのユーザー共通の意見や観点が判りやすくなるとのことです。

いかがでしたでしょうか?普段はちょっと躊躇する「ユーザーヒアリング」、ぜひともこれら4つの指標を意識しながら、挑戦してみてはいかがでしょうか?

[編集・構成]doda X編集部

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