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本気で考えるパートナーの壁:時代の変化に「乗れる」予見性を育もう

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「家庭がうまくいっているかどうかと、仕事における生産性の相関は極めて高い」

「一方で、家庭については、これまでほとんど集合知が活かされることがなかった」

(高橋俊介著「自分らしいキャリアのつくり方」より)

この鋭い二つの指摘、言われてドキッとする方は少なくないのではないでしょうか。

過去数十年の間、職場での働き方や上司・部下のマネジメント、評価制度の整備、プロジェクトの進め方の技法などは、試行錯誤、紆余曲折を経つつも、さまざまな人が取り組み、研究を重ねることで「集合知」として対処が続けられてきました。

一方で、このように高度化した職場、仕事の現場を離れると、そこには個人で各人が向き合わなければならない「家庭」「パートナーとの関係」という存在があります。

これらは、技術的進歩によるさまざまな影響を受けてきた生活の要素です。例えば、20年程前までさかのぼると携帯電話が普及していなかったため、週末になれば仕事のことは一時的に忘れ、家庭やプライベートに集中しやすい環境がありました。しかし現在では、24時間、世界のどこにいても、携帯電話があることによって仕事がプライベートに侵食してしまいます。

技術だけではありません。考え方、仕事の進め方、個人の価値観など、さまざまな時代の変化にさらされつつも、プライベートなパートナーとの関係については、ほぼ個人に委ねられてきました。その結果、対処できずにいる方も少なくありません。

そこで、今回は現代における「パートナーの壁」をどのように打破し、変化を楽しみやすい環境を作れるのかを深掘りします。20代〜40代の男性ビジネスパーソン50人による議論と、その議論を踏まえた女性へのフォローアップインタビューなどを交えたものが本コンテンツの内容です。

あなたが直面している「パートナーの壁」に関するヒントが隠されているかもしれません。

それでは、今回のアウトラインです。

INDEX読了時間:5

それでは本編です。

パートナーとの関係を考える「予見性」のフレーム

まず、今回の議論から浮かび上がってきたのは、夫婦関係を「予見性」として捉えるという見方です。

この図が示すように、パートナーとなっている男性、女性はそれぞれ「自分の未来はきっとこういう風になっていく」という想像・イメージを持っています。これが、今回我々が名づけた「将来に対する予見性」という内容です。

そして、この予見性が、男性、女性のそれぞれ自分の中で明確になっていたり、先行きを予想できる状態になっていると、気持ちが落ち着き、パートナーに対して穏やかに接し、支援し、困ったときには手助けをしたり共感をしてくれる存在になっていきます。

参加者からも、

「自分にとって、妻との関係はいわば土台のようなもの。お互いに何を目指していて、どこに向かっているのかがしっかりと共有できていると、本当に頼りになる土台となり、自分が人生でチャレンジしたいテーマに安心して集中しやすくなる」(28歳 男性 コンサルティング業界)

といった声が挙がるなど、お互いの予見性が保たれており、なおかつ、それが共有されている状態にあると、結果的にパートナーがキャリア上のチャレンジを後押ししてくれるという意見が目立ちました。

逆に、この予見性が男性、女性のいずれかで崩れると、崩れてしまった当人はとても高いレベルの不安に襲われ、パートナー同士で口論をしたり、予見性を毀損する原因となるパートナーの行動(例えば、年収が20%下がる転職をしようとするなど)を、強く制限してしまう場合もあります。

しかし、この「予見性」、単純にパートナー間で話しあえばそれですり合い、高いレベルで両立できるような単純な代物ではなく、そこにはいくつかの複雑な力学と個別事情の作用が働いています。

その背景となる構造を理解せずには、問題の核心を議論できないことが議論を通して明らかになっていきました。

「予見性」に対する両親の影響

まず最初に挙げられる複雑な構造は、男性、女性がそれぞれ、自分たちの両親を小さいころから観察し、その在り方に強く影響を受け、結果的に「予見性」のベースを形作っている点です。

例えば、父親が大企業のサラリーマンとして定年まで勤めあげ、土日の時間を家族のために大切にしてくれた思い出がある女性であれば、「ベンチャーに勤める男性」「土日も仕事に出て行ってしまう男性」は、自分の「予見性」の範疇を超えてしまいます。そのため、「これから小さい企業で何年間、定常収入が続くの?」「家族で楽しい時間はほとんど過ごせないのでは…」といった不安から、幸せな「予見性」を見出しにくくなってしまいます。

「妻の父親は6時には家に帰ってきていたみたいで、いまの環境に不満がたまっているようです。ベンチャーのCTOである自分の状況を頭では分かってくれていると思うのですが、やはり幼少期の父親のイメージを今でも抱いているのだと思います」(40代 男性 ベンチャー企業CTO)

また両親は、自分たちと子どもたちの世代の予見性や行動とのギャップを感じ、直接的にプレッシャーを与えてしまう場合があります。

「君は大企業で安定して勤めあげるだろうから娘の結婚相手としていいと思っていたのに、結婚した後に小さなベンチャーに移るなんて先の想像がつかない。そんな転職は、認めない」など、強制的な介入をしたり、暗黙裡のメッセージや間接的なやり取りなどを使って、当人たちのキャリアチェンジに大きな影響力を発揮してしまうこともあります。

これは、結婚してみないと分からない要素でもあり、議論の参加者からも

「妻の母親とのコミュニケーションは重要である、と多くの方が仰っていたことが印象に残りました」(20代男性 独身)

と、両親と自分たちとの関係の深さに驚くコメントが多く集まりました。

「予見性」に対する一次インプットの影響

両親のほかに、パートナー同士の「予見性」に影響を与えるのが、社会人になる前、なった後に個別に経験する、他人からのインプットです。これらは、各人が直接、自分の同僚・上司・先輩・部下などから聞き及んだ内容ですので、仮に「一次インプット」と名づけてみます。

「一次インプット」の最大の特徴は、自分にとって生々しく、情動的な影響を与える点です。例えば、年末商戦などの繁忙期は土日も働き、30代〜40代でも家に帰らず残業をし続ける組織で働き続けた男性にとって、家族との時間を削るという行動が、現在・将来の自分にとっての「あたりまえ」になります。

一方で、男性社員が積極的に育児に関わる社風の会社に新卒入社以来勤務し続けてきた女性からすると、暗黙裡に結婚・出産した後の男性パートナーは「積極的に子育てに関わってくれて当たり前」と感じるようになります。

そして、同じ会社の出身者同士などのパートナーでない限り、自分が経験した「一次インプット」は相手にはほとんど共有されることはなく、結果的に「一次インプットのズレの合算値」ともいうべき違いが、お互いの「予見性」の中に織り込まれることになります。

参加者の中からは、この一次インプットに関して次のような言及がありました。

「自分の両親や、彼女の両親と会話していて最近思うのが、(両親の影響)<(一次インプットの影響)というシフトですね。僕も彼女も、あまりに双方の両親が思い描く姿とはかけ離れた姿になっている気がします」

「予見性」と「時代の変化」

こうして、両親からのインプット、職場の先輩などからのインプットの影響を受けつつ、パートナーの男性、女性の「予見性」はそれぞれ形作られていきます。しかし、両親や先輩が経験してこなかったような「時代の変化」が、「予見性」への不安をもたらすこともあります。

例えば、下図の示すように、ここ20年〜30年で、女性の高学歴化は急速に進んでいます。

女性の大学・短大進学率推移(出典元:平成23年版男女共同参画白書)
出典元:平成23年版男女共同参画白書

その結果、以前であれば高校を卒業し18歳〜20歳で就職、25歳で結婚し、そのまま子供を産むのがスタンダードだったという時代感が、今では男女ともに対等に22歳で大学を卒業、30歳前まで就労経験を積み、結婚時にはパートナー双方が社会的に同等のポジションや収入レベルにあるという状況が多くなってきました。

このとき、自分の親世代をモデルとし「男性は働き続け、女性は会社を寿退社して家庭と育児に専念する」といった組み合わせのカップルは少なくなり、お互いに勤務しながらどのように「家庭・子育てを分担するか?」という新たなテーマが生まれます。

その結果、新しく出現したテーマについて、両親からのインプットや一次インプットの中に正解やお手本を見いだすことができなくなり、自分たちで新しい対処方法を考えなければならなくなってしまいます。「どの選択肢を選ぶべきか?」という課題が「どのような選択肢を新たに創りだすのか?」というより高いレベルの課題に変わることが、「時代の変化」によって「予見性」が受ける影響なのかもしれません。

そして、リンダ・グラットン氏が著書「未来企業」で示すように、パートナーの「予見性」に影響を及ぼしそうな時代の変化は枚挙にいとまがありません。

「技術の進歩により、バーチャル・リモートで働くのが当たり前になる」

「医療の進歩と少子高齢化で定年が80歳くらいまで伸びる」

「大企業や政府への信頼が低下し、仕事場というコミュニティが変容する」

このような変化に対して新たな解を考えていかねばならない時代を、現代のカップルは迎えているのかもしれません。

女性の3タイプを理解しよう

「予見性」をパートナー間で高めることができれば「土台」としてのお互いの関係性はより深まります。そのために必要な「予見性」を取り巻く複雑性への把握と対応について女性にインタビューをしていくと、次のような観点が出てきました。

「女性として感じるのは、男性=“自分が多かれ少なかれ夫婦の中では仕事面の軸を担う”という心理をもっていること。周囲からの期待があるのに対して、女性は少なくとも3つのタイプに分かれるということです。女性は、1. 自分が主婦など家庭中心の役割を担う、2. そこそこは働きつつも仕事中心とまでは目指さない、3. 自分のやりたいことやキャリアを追求したい、という立場です」(20代女性)

そして、女性がタイプ1、2、3のいずれかによって、男性側が直面する「予見性」の課題や「土台」を維持・伸長するためのポイントは大きく異なってくるのではないかという指摘がありました。

例えば、女性側が 1 の主婦タイプであれば、男性側は相対的に自分のキャリアを追い求めやすくなったり、時期に応じて仕事の比重を高め、家庭や子育ては女性にまかせることが可能になり、両親世代の「予見性」をそのまま適用しやすくなります。

一方で、女性が 3 のタイプであった場合は、男性はパートナーとの間で、家庭への時間配分、子育てや家事の分担などについて話し合い、対処する必要性に迫られることとなります。

そして特に、女性の高学歴化、男女格差の縮小、少子高齢化による女性の労働力化などを背景に増加傾向にある 2、と 3のタイプの女性を理解することは、多くのパートナー、特に男性にとって、とても重要なテーマになってきているかもしれません。

「3. 成し遂げたい」型パートナーとの関係

こうした流れを踏まえ、特に最近増えつつある 3 のタイプの女性たちを取り巻く環境について、少し深掘りしてお話を伺いました。

キーワードを先に列挙します:

・男性と女性の両方の役割要求

・育休時代のジレンマ

・がまんの時期のカップル間合意

・軽い気持ちでは耐えられない男性側の負担

・男性側の「あたりまえ」

 

・男性と女性の両方の役割要求

3 のタイプの女性は、仕事に専念する男性と同等のパフォーマンス、時間の使い方を要求されます。同時に、家事・家庭・子育てという面では、双方の両親からの期待値や隣人、友人との比較の中で「女性らしい役割」をこなすことを求められる風土が存在するため、常に高い要求と、それに応える稼働を暗黙裡に要求されることになります。

 

・育休時代のジレンマ

子供を出産する場合、どうしても出産前後の数カ月、数年は職場を離れざるを得ない状況が発生してしまいます。その結果、仕事上で最も昇進が早い同僚との間でキャリアの差が生じたり、キャリアの断絶により特定のキャリアパスを登ることができなくなってしまったりするなど、本人の実力や努力では埋めることができないギャップを突きつけられてしまうことがあります。

 

・我慢の時期のカップル間合意

男性も女性も、昇進のために地方や海外への転勤が不可欠なことが分かっている場合や、転職や起業など新たなチャレンジのためにどうしても一時的な収入の激減を受け入れなければならないことが分かっている場合、もう一方がパートナーのために我慢をする(転勤に伴って自分も転職や異動をする、収入が下がるようなキャリアチェンジを控えるなど)時期がどうしても必要になり、その計画をお互いに数年単位ですり合わせる我慢が必要になることがあります。
・軽い気持ちでは耐えられない男性側の負担

出産を終え、子育てをするようになった場合「男性が週に2日、女性が週に3日、子どもを保育園に迎えにいく」といった分担をするようになると、思った以上に男性に大変な負担とプレッシャーがかかってしまう場合があります。こうしたプレッシャーは、子育てなどの場面に直面するまで男性がイメージすることは難しく、十分な心構えができている、十分に覚悟して受け入れているというケースは少ないのが現実です。

 

・男性側の「あたりまえ」

多くのカップルの間では、いくら女性側のキャリアを尊重しているとはいえ、男性は心のどこかで「女性が家事をすること、子どもを迎えにいくことはあたりまえ」という感覚があるのではないでしょうか。その結果、ちょっとしたときに相談なく女性が負担をしたり、男性がそれを担うときに「なんで自分がやらなければならないんだ」という不満につながることが考えられます。
このように、男性を中心とした議論ではほとんど出てこなかった観点が、女性へのインタビューや調査で数多く出てきました。

「今回の議論では、男性が女性を理解するというベクトルの方が強いなと感じました。女性の生き方の多様性を、男性がきちんと理解しないと男女双方が辛いのだなと感じました」(20代 女性作家)

「女性陣が家事などに不満を口にすると、男性は男性脳ゆえにすぐ、じゃあ、家事代行サービスを使えばいいじゃんなどと言いますが、これはNGです。必要なのは、共感や理解。夫でなければかけられない言葉をかける、これが私が今まで見聞きした中で一番上手くいくケースです」(30代 女性会社 役員)

パートナーとすりあわせたい5つの観点

では、こうしたギャップが多く発生する可能性の高い現代において、パートナー間ではどのようなことに取り組めばいいのでしょうか。その一つのヒントは、下記のような項目に関して、実際に会話をし、まずはお互いの「予見性」のギャップや、その不安を確認し合うことにあるかもしれません。

【パートナーとすりあわせたい5つの観点】

1:お互いの両親から影響を受けている「予見性」

2:現時点での自分の予見内容

3:お互いの予見の背景となっている原体験・聞いている話(一次インプット)

4:将来の主要イベントの発生時期と方向性(例:結婚・出産・転職・引っ越しなど)

5:譲れないもの、譲れるもの(基本的な価値観)

以上、いかがでしたでしょうか。

今回の議論と検討では、特にまだ結婚していなかったり、パートナーがいなかったりする若い参加者が全体の2割程を占めていましたが、彼らからは次のようなコメントが相次ぎました。

「すりあわせたい5つの観点は、似たようなことをまさに考えていました。恥ずかしながら、なかなか両親から影響を受けていることに気づく若い世代がいないのかもしれませんね」(20代 女性)

「自分は4月に結婚予定なので、今回の議論で学んだことを活かして妻と良い結婚生活を送っていきたいと考えています」(20代 男性)

「未婚の自分にとって、さまざまな既婚者の方々のお話を聞けたのはとても貴重でした」(20代男性)

冒頭の高橋俊介氏の指摘にもあったとおり、この「パートナーの壁」という領域は、これまで十分に集合知が活かされる機会がありませんでした。しかし、こうした知恵や対処法について早めに議論し、知ることができれば、パートナーは、変化に対応し、楽しむための土台を作ることができる可能性があります。

「予見性を話し合うタイミングは、結婚や出産、キャリアチェンジなど大きな出来事が起こるときに多いと思います。そしてそのファーストステップとして起こることのが、結婚や出産。このタイミングで、表層的な議論に終わらないこと、話し合うことを途中であきらめないことが大切だと思いました」(30代 男性 マーケティング関係)

この機会にぜひ「パートナーの壁」を乗り越え、お互いの予見性を高める営みを試みてはいかがでしょうか?

【 本記事の読者にはこちらもお薦めです 】
「夫婦未来会議」―パートナーの壁を乗り越える秘訣とは
パートナーとの関係を継続・発展させる「夫婦未来会議」というアプローチをご紹介します。
https://mirai.doda.jp/theme/partner/insight_miraikaigi/

[編集・構成] “未来を変える”プロジェクト 編集部

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