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インフルエンサーだけが知っている:情報発信4つの誤解

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「情報発信の価値」と聞くと、あなたはどんなことを思い浮かべますか。

TwitterやFacebook、NewsPicksなど、個人が1000人、10000人というフォロワーを抱え、Gunosyなどに取り上げられることで広範な影響を与えることもある昨今、情報発信が個人のキャリア機会に影響することも珍しくない時代になってきました。一方で、スマートフォンなどに流れる「BUZZ動画」、さまざまなニュースサイト、ニュースアプリから入る情報は年を追うごとに増大し、情報の受信だけで手一杯という方が増えていることも事実でしょう。

同時に「情報発信」の定義の幅と選択肢も拡がっています。ブログやTwitter、Facebookといったドキュメントによる発信がある一方で、特定テーマのイベントを主催・登壇・参加するといった手段も近年増えています。もちろん、「◯◯のテーマに詳しい人に会いたい」と周囲に働きかけることや上司や同僚に自分のキャリアの方向性を相談すること、これら全てが周囲に影響を与え、何らかの形でさまざまなフィードバックにつながるという意味で、「情報発信」の定義に含まれてくるでしょう。

こうして、情報の「発信」と「受信」の手段が共に多様化し、「情報発信」の幅自体が広がる時代において、「発信」をどう捉え、どのように行っていくのかという考えと行動は、個人のキャリアに大きな影響を与えているのではないか、とDODA編集部では推察しました。

そこで本記事では、「情報発信者」とそれ以外の方々との対比をベースに、「情報発信」にはどのような価値があるのか、どのようにすると「情報発信」を効果的に行えるようになるかについて、分析を行いました。同時に、情報発信の対比として「情報発信を行わない人はなぜ行わないのか」について、主に大企業が持っている構造をふまえて、深掘りしました。

今回の分析と記事の制作方法は、以下の通りです。 まず、DODA主催イベントで約80名の多様な方々を集め、「情報発信に価値があるのか」をテーマに議論を実施。その後、取材も併せた内容がベースになっています。イベント参加者は、大企業所属、ベンチャー経営者、官僚、学者、学生、デザイナーなど。この母集団には「情報発信者」に該当する有名ブロガー、イベント主催・登壇者、書籍出版社と、「情報発信」を行っていない方々の両者が含まれています。
取材については、本記事のドラフトをお見せし、そこから個別にさらなる議論を行い、記事中に引用等の形式で反映しております。

INDEX読了時間:5

1:「情報発信者」が実践しているメカニズムとリターンとは

Twitterでフォロワーが数千人いる、大規模なカンファレンスで登壇している、雑誌や書籍などの露出を定常的に行っている。ここでは、こうしたさまざまな形で世の中に影響を与える発信をしている人たちを「情報発信者」と幅広く定義します。

彼ら・彼女らの発信には、以下のような4つのポイントを含むメカニズムが存在し、それによって「情報発信」が強化・加速し、リターンを得ていることが分かりました。

 

(1). つたない発信を世の中に晒してスタートしている

「今思えば、本当に恥ずかしい文章を書いてるな…笑」

こう当時を振り返るのは、外資金融機関、MBA留学を経て、現在はベンチャーを起業・経営しながら、多い時では数万人の読者を集めるブログを執筆するMさんです。
Mさんのブログは、とても読みやすい文章であり、自身の経験をベースとしたインパクトの強い主張を続けることで、熱心な読者を多く抱えています。
そんなMさんもブログを書き出したときは、「自分の一人称が“俺”だったり“私”だったり、文末がおかしかったり、肩に力が入りすぎたり…」と、今読み返すと恥ずかしい文章。実際に当時の記事を読ませていただくと、確かにお世辞にも上手な文章とは言えませんでした。

しかし、Mさんに限らず、「書きだした当初のブログは本当に読みづらい、ヒドい」というのは、ほとんどの有名ブロガーたちに共通する傾向でした。

これは、現在は流れるような口調で語るプレゼンターも、多くの人とビジネス上の丁々発止のやりとりをして相手を納得させるタイプの人も、最初は下手くそでしかたなかったという点に通じます。

「情報発信者」たちは、自分のレベルが一定に達してから情報発信を開始しているのではなく、下手なときに情報発信を開始し、それを継続することで徐々に発信が上達するというプロセスをほぼ共通して経ています。

「いつか上手になったら発信しよう」では、いつまで経ってもそのときが訪れないというわけです。

(2). フィードバックサイクルの形成を意識している

情報発信は、ブログなどに書いたらそれで終わり、登壇したらそれで終わり、というわけではなく、その内容が他の人に受け止められてリアクションが発生し、そのリアクション(例えば、ブログやFacebookへのコメント、登壇後の口頭でのやりとり)を“受信する”ところまでを含めて、1つのフィードバックループを形成する。

「情報発信」=「フィードバックループの形成」

これこそが、「情報発信者」たちの捉え方でした。

情報発信者たちは、執筆や登壇や人との会話といった作業は「情報発信」のいち部分に過ぎず、その発信内容が受け手にどう捉えられ、そこからどのような反応が返ってくるか。「今自分が発信した方向性は、世の中を先取りしている」「自分が仕掛けているプロジェクトは、多くの人に受け入れられそう」といった、新鮮で重要な情報を受け取って初めて「情報発信」が終わったと捉えていました。

「SNSによる手軽な情報発信は、発信だけでなくフィードバックも同時に気軽に得られ、周りの人のある種の意思表示が得られることもプラスです。」(ランサーズ株式会社 山口豪志氏)

同時に「情報発信者」は、フィードバックの中に含まれるポジティブな要素とネガティブな要素を、意識してバランスよく吸収することに細心の注意を払っていることがわかりました。

(3). スタンスを蓄積し続けている

さまざまなフィードバックを受け続け、日々の行動の中で「何を発信すべきか」「自分のどんな行動を改めるべきか」といった思考を継続的に行い、そこからさらに新たな情報発信を行うという繰り返しによって、「情報発信者」には、徐々に自分の意見の一貫性が生まれます。

この一貫性は、上記の繰り返しを重ねることによって強固になり、自分だけのユニークな「世の中に対する一貫した捉え方」、言い換えると「スタンス」が蓄積していきます。

こうして「スタンス」が蓄積すると、どのような切り口の投げかけ、論点に対しても、一貫して独自の解釈を提示することができるようになり、他の人にとって、より価値の高い情報発信が可能になっていきます。

「上記のくだりは、たいへん共感します。私自身も、もともと自分の想いがありましたが、テラで取材を受けるようになって、さらにその信念(日本発メガベンチャーの創造)が強化されたように思います。さらに、他の人ができていない、やっていないとするならば、それこそ、クレイジーと言われようが自分がやらねばみたいな使命感が蓄積してきています。」 (テラモーターズ株式会社 代表取締役 徳重徹氏)

これが「情報発信者」が行っている、「スタンスの蓄積」というプロセスになります。

実際に、情報発信者にそのスタンスを聞いてみると、例えば下記のような答が返ってきます

「僕が何かを発信するとき、何となく意識しているのは、「一部の属性」を共有している人に対して、「違う属性」の事を、うまく伝えるということです。 例えば、僕の繋がっているコミュニティーには、大都市に居るいわゆるエリートもいますし、地方の農業者もいます。 農業の事を、大都市の経営者の視点に合わせて発信するとか、逆に世の中のトレンド、都会で起きている事を、農家への意味合いに翻訳して農業者目線で発信したりとか。」(フロンティアベース 代表 木村 敏晴 氏:軽井沢と東南アジアで農業ビジネスに挑戦中)

 

(4). 長期的・間接的なリターンに価値を見出している

「情報発信者」の4つ目の共通点は、「情報発信」に求めるリターンや、情報発信のモチベーションとなる報酬が、極めて長期的であり、間接的である点です。

「情報発信者」たちに聞いていくと、彼らが情報発信によって得ているリターンの多くは、日常業務に返ってくるような短期的・直接的リターンを超えており、なにより、本人の想像できる範囲を超えていました。

  • 自分の書いた記事が話題になってBUZZが起き、それがたまたま某社の執行役員の目に留まり、そこからコンサルティング案件のリクエストにつながった(人的な関係の間接性)
  • 大規模な会場で3年前に行ったプレゼンテーションを見た方が、それ以来ずっと自分の動向に注目し続けていた。先日初めてお会いしたときに、出版の依頼をもらった(時間的な関係の間接性)

こうした情報発信者のリターンには、枚挙に暇がありません。さらにいえば、情報発信者の中には「多くのフィードバックを集約していくと、今後10年のこの業界のトレンドが感覚で分かるようになった」など、本人も口頭で説明できないようなリターンを得る場合もありました。

「情報発信者」は、こうした点を理解し、やみくもに今日明日のリターンを求めるのではなく、長期的に、間接的に、何かきっといいことがある、というポジティブな期待感で構えています。そして、それが思いもよらないリターンに跳ね返るというメカニズムがあることが分かりました。

「僕も前職時代は、2年ばかり、1日も休まず、匿名でしたが、フィットネス業界及び組織人事におけるブログを書き続けていた時期があまりました。それがある時に僕であることが特定され、業界誌などからの取材の依頼や連載のオファーをいただくに至りました。以降は、飛躍的に業界内では、会社の名前に頼ることなく、自分の値札と名札で仕事ができるようになりました。」(株式会社FiNC 代表取締役社長CEO 溝口勇児 氏)

一方で、情報発信の価値を分析することで見えた4つのポイントは、「情報発信者」ではない層が「情報発信者」になれず、リターンを享受できない「4つの誤解」に繋がっていることも、明らかになりました。

2:「情報発信者」か否かを分ける「情報発信 4つの誤解」

誤解1:十分吟味し、価値ある情報を発信しなければならない

情報発信を妨げる1つ目の誤解は、有名ブログや特定メディアに掲載されるような文章と同レベルのものを書けるまでは発信は控えておこうとする考えです。

これは、単に文章力だけでなく、提供する情報の質についても自らハードルを課すケースが多く、

「自分が発信すべきものが明確になってから」
「世の中にインパクトがあるようなコンテンツを持ったら」

といった捉え方も多く見受けられました。

ですが、先ほどの情報発信4つのポイントで紹介した通り、実際には情報発信は、行っているうちに自分の中で蓄積が起こり、それによって優れた情報の捉え方、独自の意見の表出ができるようになります。

「ブログとかを続けている人のこつは、 とにかく「肩の力を抜いて気楽に」です。」(40代 男性 大手商社勤務の有名ブロガー)

最初から最高を狙うのは、泳げない人が、泳げるようになってからプールに入ろうと考えるようなものかもしれません。

参加者からも、次のような反応がありました。

発信することで、考えや日々の姿勢が磨かれていく、発信するべき内容があるから発信をするのではなく、発信するからこそ中身がついてくるという他の方のお話が一番印象的でした。(30代女性:広告代理店勤務)

発信が機能するまで(反応が返ってくる)には技術的な熟達や時間的な忍耐が必要。(30代男性:大手事務メーカー勤務)

発信力は筋肉のようなもの。(30代男性:人材関連企業勤務)

 

誤解2:情報発信は、書いて発信するまでが山場だ

この2つ目の誤解は、「情報発信をする人は、何か表現をしたり、発表したりする行動が好きな人たちであって、自分はそういうことが好きではない」という反応につながります。

実際の情報発信は、その発信を行った後のさまざまなフィードバック収集作業に大きな比重があります。

例えば、Twitterであれば、自分の投稿したブログ・記事に対するコメントを羅列して閲覧することができ、それによって「今回の意見は、こういう風に捉える人がいるんだ」「なるほど、今回の意見はリツイート・参照される回数が多く、トレンドにのっている」といったことも分かります。

こうした、さまざまなフィードバックを追跡作業によって追いかけ、場合によっては自分の記事を直接会った人に紹介し、その感想を後日集めるなどすることで、自分がその時点で持っている思考・検討内容に、大いなるフィードバックが集まります。

今回のDODAのイベントでも、こうした考え方、活用方法を知った参加者からは、さまざまな反響がありました。

改めて気づいたことは、自分自身のパフォーマンス向上 → 社内で一目置かれる存在になり、重要な仕事を任せてもらえるようになる → 社外の多種多様な方とのつながりによりアイデアが増える → 自分のしたい・進むべき方向性がよりクリアになる → 社外で得られたアイデアを社内に還元 というサイクルを回すことができるという点が発信によって得られる価値である(30代、外資系コンサルティング会社勤務)

情報発信は、決して一方的な言いっぱなしではなく、そこからのリアクションを捉え、吟味し、自分に反映し、再び情報発信するという、一連のフィードバックサイクルのことを指す。こう捉え方が変わると、「情報発信者」に転ずる人も、少なからずいるのではないでしょうか。

誤解3:独自情報を集められる特定の人だけが情報発信できる

「いつも新しいネタを提供できる立場でないと、発信できない」
「自分には書く素材やテーマが特にない」
といった反応が、3つ目の誤解につながります。

確かに、情報発信は「受け手にとって新しい情報」がないと、価値やインパクトを残すことはできません。

ですが、この「新しい情報」は、「新しい客観的な情報」を次々と提供するということではなく、

「既に他の人が知っている事実」×「独自のスタンス」

という組み合わせによって、新たな情報を生み出しているというのが、「情報発信者」の持つプロセスの共通項です。

情報ソースそのものは豊富にある現在、情報発信を繰り返し、自分の中にスタンスを蓄積すればするほど、自分のスタンスの琴線に触れる記事が見つけやすくなり、その内容と自分のスタンスの掛けあわせによって、多くの人に新たな観点・情報を提供できるようになります。

情報ソースの枯渇や不足を恐れる必要はなく、そのソースは、自分の内面に蓄積されたソースにこそ宿る、というわけです。

情報は発信によって磨かれるのか、という気づきがありました。であれば完成していない情報や考え方でも、いったん出してフィードバックをもらって…というプロセスこそ価値があることだと気づきました。(20代:出版社編集担当)

 

誤解4:明確なメリットがないので情報発信を行う価値はない

「そもそも、何のために情報発信をするのか?」
「正直なところ、情報発信するメリットや目的がピンとこない」

といった言葉こそ、情報発信における誤解の典型的な反応です。

ここに存在する大きな誤解は、「明確なメリットが定義できない」を、「メリットが存在しない」とすり替えてしまっている点にあります。

実際に、「情報発信者」が得ている情報発信によるメリットは、

  • 過去になかった新たな人とのつながりの発生
  • そのつながりの延長線上での大きなコミュニティ形成
  • 新たな発見、気付き
  • 書籍出版の依頼
  • 自分の新事業の投資家との出会い

など、実に多岐に渡ります。

ただ、これらのメリットはいずれも、発信された情報が何人かに伝播し、面識のない相手に伝わったときに大きなリターンが発生したり、そのリターンの発生そのものが、情報発信から何日、何週間、何カ月、場合によっては何年も経過してから起きるという「時間的、関係的に、想像もつかない遠いところ」で発生するため、発信した時点で効能やメリットを定義したり予測したりとすると、到底不可能となるわけです。

「我が身を振り返って、情報発信から得てきたメリットは凄まじく、そして(主に時間的な)投資に対してのリターンが長期的かつ(1つ1つのポストに対してのリターンという意味で)因果関係が見えないことによって、多くの頭が良いと言われる人たちが手を出せない領域なんですよね。だからこそ実践している人間からすると、しめしめって感じなんですが(笑)」(ブロガー 梶原 健司 氏)

また、今回のイベントを通して「情報発信者」の経験を聞いた参加者の多くは「情報発信しないことで時代に取り残されるリスク」を指摘していました。こうした、時代をセンシングするメリットも、明確ではないが重要なメリットなのかもしれません。

発信力を身につけることで人とつながる機会が増え、いざという時自分を助けてくれるセーフティネットが構築できる、という考えを学びました。(30代:大手メーカー勤務)

発信の価値は、広く言えばセーフティネット。(1)不確実な将来への布石、(2)ジョブオポチュニティの発掘、(3)目の前の困りごとに対する支援を得る、(4)セレンディピティなど(30代:大手人材系企業勤務)

これだけ未来予測が難しい時代に、発信していくことはリスクを減らすと思うのだけどね。(30代:ベンチャー経営者・元大手銀行出身)

 

3:エスタブリッシュな大企業が持つ「誤解を増強させるメカニズム」

さて、こうした誤解は、特に大企業に所属する会社員にとって、環境的に増幅されやすいという点が、今回の一連のやりとりの中でも指摘されました。

 

上の図に示す通り、大企業では、多くのお客さま、取引先、そしてメディアによって「こうあるべきだ」と期待される自社像が形成されます。

「◯◯銀行の行員が、夜、馬鹿騒ぎをするとはなんたることか?」
「環境保護を重視する▲▲自動車に所属する人間が、大排気量のモーターレースを応援するのはおかしい」

こうした個人的なレベルであっても、1つ間違えるだけで、大騒ぎになりかねない要素を含んでいます。特に、FacebookやTwitterなどで、個人の何気ない行動がクローズアップされ、多くの人に伝播される状況では、稀に大騒ぎに発展してしまうことすらあるでしょう。

その結果として、企業内の「個人」は、自分が発信をすることによるリスク、会社が広報などを通して公式に発信する方向性と異なった、個人的情報を発信するリスクを常に意識せざるを得なくなり、「よほどしっかりした情報が発信できなければ、発信は難しいし、マイナス要素が大きい」と感じ、先ほどの誤解1にあった「十分吟味し、価値ある情報を発信しなければならない」を、さらに強く意識しすぎて、発信が遠のいてしまいます。

また、個人が考えている方向性と、企業が公式に打ち出している方向性が異なる場合、個人の意見を無理にでも、会社の公式な意見とすりあわせたりすることは、「本来の自分が出せない」「自分のスタンスをとりづらい」ということになってしまい、誤解3にあった「独自情報を集められる特定の人だけが情報発信できる」という点も、同時に強めてしまいます。

こうして、個人として社外へリーチし、そこからフィードバックを得るような機会が乏しくなる結果、そのつながりは社内の人間関係、および社内のものの見方という比重が高くなり、結果として、本来情報発信が持っている、組織の壁を超え、思いもしない遠くの人との接点が生まれるような偶発的な経験を積めなくなってしまいます。

 

4:大企業に所属していても、「情報発信者」が成功するケース

では、こうした背景をふまえて、大企業に所属する会社員は、情報発信を活かすことは本当にできないのでしょうか。

この点について、今回の参加者の中でのやり取りから見えてきた、いくつかの成功パターンを、最後にご紹介したいと思います。

【方向一致パターン】
状況: 自分が仕事で手かげている内容が、自分個人の方向性と合致度が高く、その延長線上で外部への情報発信ができる機会を活かす
ケース: 某証券取引所のIさんは、CSRの仕事として、起業の促進を中高生に教えるためのプロジェクトを、大物ベンチャーキャピタリストに依頼し、丹精込めて進めてきた。この事業そのものは、Iさんにとってまさに心血を注ぎ込んだテーマ。一方で、こうした企画の集客の経験が乏しかったため、開催直前になっても、定員の半数程度の応募しかなかった。
これに困り果てたIさんは、今までやったことがなかったがFacebookで、友人たちに「本当にやりたかった企画ですが、残念ながらまだ人が集まっていません。週明けには街頭でビラ配りを実施し、なんとかしようと思っています。助けてください」と発信。それを知った多くの友人が支援にまわり、状況が大きく変わった。
学べるポイント: 自分の仕事の中で、会社の方向性と個人の方向性が合致する点があれば、積極的に情報発信を行ってみる。それにより、情報発信の最初のハードルが下がり、フィードバックループへの入り口をつかめる可能性がある。
【2ndテーマパターン】
状況: 自分が企業で取り組んでいる本業とは関連性のない、ただし自分が心血を注げる全く別のテーマについて、情報発信をする
ケース: Sさんは、大手外資系メーカーに企画職で勤務中。その活動とは別に、週末はNPOでプロボノを手がけており、その組織が大切にする事業に関する情報発信を、公式担当者として行っている。組織の立ち上げにも関わっており、中心メンバーであるSさんは、メンバーと合意をとりつつ、自分のスタンスで情報発信がしやすく、この経験を通して、情報発信の力が飛躍的に向上した。
学べるポイント: 自分が本業以外で情熱を燃やしているテーマがあれば、そのテーマに関する情報発信を実験してみる。この場合、外部組織に所属をしていれば、「◯◯社の人」という扱いではなく、「外部団体の▲▲の人」という認識をされ、本業への影響などが出にくくなる。
【固定ハンドルネームパターン】
状況: 個人としてはとても発信したいテーマがあるが、どうしても所属する自社の方向性とバッティングをしてしまう。そんなときに、外部に対してはてなブックマークなどを使った、固定の匿名(=ハンドルネーム)を使うことで、情報発信をする。
ケース: 大手広告代理店に勤務するFさんは、本業では別の業務を担っている。しかし、自分の個人的な意見としては、本業における現状サービスには限界があり、その限界点をしっかりと整理し、新しい方向性を打ち出したいと考えている。
そんなとき、Fさんが行ったのは、ハンドルネーム名を用いて個人ブログを運営し、オピニオンを打ち出していくという方法だった。専門性も相まって、Fさんの鋭い指摘は多くの人の反響を呼び、遂には匿名でイベントなどに招かれるまでになった。
学べるポイント:本業と関連性が高く、なおかつ自分の方向性と自社のギャップが大きく、それが許容されない文化の会社であれば、固定ハンドルネームを使った発信を検討してみる。そのとき、匿名であっても、いつも同じペンネーム(ハンドルネーム)を使うことが大切となる。 これによって、情報発信のポイントである「いつもフィードバックがもらえる(匿名で消えてしまう人に対しては、あまりフィードバックしない)」「フィードバックが蓄積する」といった点を担保できるようになり、情報発信のメリットを享受できるようになる。ただし、後々本名を開示したときに、ネガティブな事象が発生しないように「守秘義務」および「誹謗中傷」には神経を使う。

いかがでしたでしょうか?

情報発信を行うことにどんなメリットを見出すか、そしてそれをどのように試してみるか?

この内容については、情報発信者からのメッセージにて、締めさせていただければと思います。

  • 普通の仕事上の発言や発信と何が違うかというと「自由な発信」、つまりテーマ設定や動機も含めて、自由意志に委ねられた発信、その放置された環境の中で創造性が発揮されるということ。つまり、自由な発信(表現)というものが、自身の創造性を呼び起こす鍵だということですね。潜在的ではあるんですが、それは決して偶然的でも長期的でもなく、むしろ日々の行動を震わせる、確実なものだと思うのです。
    僕も人にブログ書くのとか進めるんですが、やっぱりそこなんですよね。「いつか何かあるかもよ」ということではなく「毎日が創造性にあふれるよ」ということが、やっぱり情報発信の価値そのものではないかなーと思います。
    (株式会社リブセンス 取締役 桂大介氏)

最後に、今回の一連の取材を通して、多くの「情報発信者」が推奨した、「情報発信」への第一歩をご紹介しましょう。

それは、Facebookなどで記事をシェアする際に、「自分はその意見について、どのように考えているか」というコメントを添えてシェアするという方法です。

こうすることによって、何かインプットを得た時に、自分のスタンスを手軽に発信し、そしてそこから周囲のフィードバックを得るということが、実名コミュニティであるFacebookの性質も相まって、比較的手軽にできるというのが、彼らがこの方法を推奨するポイントです。

もしまだ「情報発信者」でないのであれば、一度手軽に、この方法からトライしてみるのも、1つの方法ではないでしょうか?

<< “未来を変える”プロジェクト 編集部より >>
いかがでしたでしょうか。非連続な変化が予想される社会において、ビジネスパーソンのキャリア観は大きく変わっていきます。こうした背景を受けて、変化を受け入れ、楽しみ、自身を変革し続けることが、今後のキャリアで大切なことだとDODAは考えています。
本プロジェクトは、多様なビジネスパーソンの知的交流によって新たな知見や視座を得る場です。DODAはプロジェクト参加者とともに、この先にあるありうる未来を語り合い、そして、未来のはたらくについて、深掘りしていきます。

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