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任天堂「Wii」元企画開発者・玉樹真一郎が考えるレジリエンス VOL.1

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“未来を変える”プロジェクトでは、記事の制作段階でさまざまな方と議論し、フィードバックをいただきながら、制作しています。その中で、フィードバックをいただいたWiiの元企画開発者である玉樹真一郎さんの「『レジリエンス』〜ビジネスパーソンが押さえておくべきキーワード〜」に関するメッセージがとても示唆に溢れており、ぜひとも読者のみなさんに共有したい内容であることから、ご本人に了解をいただき、全2回に渡って掲載させていただきます。

VOL.2「任天堂「Wii」元企画開発者・玉樹真一郎が考えるレジリエンス VOL.2」

追い詰められた状況でイノベーションを生み出すコツは?

「レジリエンス」と「好きになる」の深い関係

まずはじめにボクにレジリエンスの能力があったかと問うと、そんなことはないように思います。一方で、Wiiを企画していた当時を振り返ると、ゲームというテーマに自分自身が深く関わっていて、ゲームの問題はボク自身の人生の問題だと言えるような状況でした。それほどゲームが好きでしたし、大切なものでした。だからこそ、結果的に深く考えることができただけという実感があります。つまり、レジリエンスは、「逆境が自分自身と関係が深いものだと認識することで、結果的にレジリエンス的な力を発揮できる」という流れなのではないかと思うんです。

そのためには、会社の主たる事業や取り組み、テーマを深く「好きになる」必要があるのではないでしょうか。

恐怖と憤りのはざまで生まれた企画「Wii(ウィー)」

任天堂に入社したとき、ソニーさんのPlayStationが全盛で、ネットの掲示板を覗くと「任天堂は終わり」という言説が平然と理論的に並べられているような状況でした。そんな状況を跳ね返したいがために「どんなゲームなら、ユーザーに好いてもらえるのか?」をひたすら考えていたのですが、どこか空回りしていました。

そんな矢先、ソニーさんからプレイステーション・ポータブル(以下、PSP)が発表されました。光学式のディスクで携帯機が遊べますという発表で、戦慄したことを憶えています。テレビにつなぐ据え置き機の市場でもシェアを奪われているのに、携帯機でもその強さを発揮されては、ボクの会社はどうなってしまうんだ!? と。恥ずかしながら、自分が首になったらどんな会社に転職しようかとか、そんなことを帰り道の地下鉄でふと考えてしまうぐらい、怖かったし、イライラしました。しかし、そのタイミングから、ボクの考え方が変わりました。それがひいては、わずかながらでもボクなりに会社に貢献するWiiの企画へとつながっていくことになります。

今だから何となくわかるのですが、当初の空回りしていた頃のボクは「商品やサービスとしての具体的なゲーム像」という成果物・結果にばかり考えを巡らせていました。しかし、PSPの発表以降は「ボクはなぜゲームが好きなのか?」とか「任天堂という会社は、ゲームという媒体を通して、いったい何を実現しようとしているのか?」といったことばかり考えるようになりました。

強いライバル――ライバルという言葉も生易しいですね。ライオンやクマのように現実の世界でボクを殺そうとしている存在を認識することで感じた根源的な恐怖心とか、こんなにがんばっているのになぜ!? という憤りのようなものがボクを揺さぶって、成果物としての商品やサービスといった表層的な部分から、自分や会社の存在意義やコンセプトといった深い部分にまで下りるきっかけを与えてくれたように感じています。

逆境でも好きだから、がんばれる。

そもそもボクは、小学校低学年の頃、友人の家で見たファミコンとスーパーマリオに雷を打たれてからずっとゲームが好きでした。ゲームで笑い、ゲームで泣いて、こんなに面白いものはないと思って、任天堂に入りました。

けれど、ゲームというものは、そもそも家族や世間から見て諸手を上げて喜んでもらえるものではありません。家族に見つかると「ピコピコばっかりやってるとバカになる、目が悪くなる」と言われ隠されてしまいますし、世間からは「ゲーム脳」なんて言われてしまいます。

そんなゲームというメディアの立ち位置が、イヤでイヤでたまりませんでした。ボクにとってのゲームと、世界にとってのゲームを、重ねあわせたいと深く思いました。ゲームを好きになると、自分と切り離せないものになるので、ゲームを良くすることが自分の人生を良くすることに直結しています。このレベルにまでどうやって下りていけるか?ということを、最近のボクは意識的にやっている気がします。

ボクは企画を考えるとき、まずはテーマを好きになるところから始めます。自分とテーマの重なるところを見つけるために、心の深いところに降りていくような感じを毎回お仕事で体験するわけですが、これがなかなか面白いです。自分とは関係ないと思っていたこととの間に関連性を見つけた瞬間の自分が巻き込まれる感じとか、さっきまで気配すら無かったやる気やエネルギーが、心からむくむくと湧き出てくる感じはちょっとクセになります(汗)。

まとめますと、「逆境でも好きだから、がんばれる」、それがレジリエンスというものすごく当たり前な話になってしまうのがちょっと悔しいんですが、何か伝わるものがあれば、うれしいです。

[構成] 三石原士

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