ログインして記事ブックマーク、コメント投稿などすべての機能を使う。

close

テーマ

任天堂「Wii」元企画開発者・玉樹真一郎が考えるレジリエンス VOL.2

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
BOOK MARK

“未来を変える”プロジェクトでは、記事の制作段階でさまざまな方と議論し、フィードバックをいただきながら、制作しています。その中で、フィードバックをいただいたWiiの元企画開発者である玉樹真一郎さんの「『レジリエンス』〜ビジネスパーソンが押さえておくべきキーワード〜」に関するメッセージがとても示唆に溢れており、ぜひとも読者のみなさんに共有したい内容であることから、ご本人に了解をいただき、全2回に渡って掲載させていただきます。

VOL.1「任天堂「Wii」元企画開発者・玉樹真一郎が考えるレジリエンス VOL.1」

「知っている人」と「知らない人」がもたらすイノベーション

知らない人からの予想していなかったアイデア

ごく個人的な体験でしかありませんが、任天堂でプロジェクトの渦中にいた頃を思い返すと、それはもうタフな日々でした。まるで冒険のように、倒しても倒しても現れる敵を必死の思いで倒しながら、HPもMPも使い尽くして布団に入る毎日…そんな中で、何がボクを励ましてくれただろう? ということを思い返してみますと、面白い共通点が見えてきました。

知らない人からの予想していなかったアイデアに触れた時、ボクは確かに励まされていました。

大きな企業になると、やはり「今まで話したことのない人」が生まれてしまいます。専門が細分化されて高度に研ぎ澄まされていくので、逆に門外漢にはトンチンカンな状況にもなってしまいます。これは世間一般には「縦割り」とか「大企業病」とか言われて揶揄されていますが、逆にそんな状況だからこそ、起きることもあるように思うんです。

ある製品にはあるコンセプトがあり、そのコンセプトを共有しておくという前提においてですが、まったく分からない専門外の会ったこともない人から、コンセプトにぴったりのアイデアを提案されることがありました。ボクはソフトウェアや企画を一応専門としていましたが、ハードウェア・リーガル・マネージメント・経営というあらゆるレイヤーから、ボクがまったく予想すらできなかったアイデアが出てきた時、ボクは何か心に火が灯るような温かさを感じました。

きっと「今まで接点が無かった他人同様の人も、自分と同じことを考えている」という共感の高みのようなものを強く感じられたからだと思います。

規模が大きくなったことで必然的に生まれる縦割り感は、きっとあらゆる会社に存在すると思います。けれど、コンセプトのようなものを共有しておいて、そのコンセプトに則ったことを考えることを意識しておけば、逆に縦割りがチャンスになるのではないかと思うんです。

もしこの仮説が正しいとすると「組織間の異動を増やす」という手段は、逆張りになってしまいます。上記が成り立つ条件は2つ「知らない人から」「予想していなかったアイデアを提案される」ですが、第一のポイントは「知らない人から」です。相手を知ってはいけないんですね。異なる部署から異動してきた人が面白いアイデアを言うとしても、異動してきた途端に部署へ急速に馴染んでいきますから、その段階で何となく「知らない人」感が薄れるといいますか、身内の言葉っぽく響いてしまいます。これではインパクトがありませんよね。

商品やサービスが身内に売れた時と知らない人に売れた時、どっちがうれしいか? と問われれば、答えは自ずと知れます。身内に売れたって、面白くも何ともないんです。「知らない」という壁を越えて想いが伝わったことが気持ち良いからこそ、マスプロダクトをヒットさせることは快感なわけです。

その原理を社内のコミュニケーションにも取り入れてみてはどうかと思うんです。特に日本の企業はまさに「『レジリエンス』〜ビジネスパーソンが押さえておくべきキーワード〜」記事中の「1940年体制」の通り、たっぷりと大きくなって、縦割り感もあるわけですから、舞台は整っています。コンセプトを定め、接点すら無い人も同じことを考えているという共感の中でもすごく高度なテレパシーにも似たことを実現・体感することで、レジリエンス的状況のタフさも乗り越えていけるのではないかと思うんです。

別な例えですが、知り合いから褒められても何かウソくさい感じや気遣いを感じてしまうことがありますが、知らない人から褒められると「そういうものかな」と一旦受け入れて飲み込んでしまうことがあるような気がしています。例えばボクは小さいころ従兄弟から「お前頭いいんだってな!末は博士か大臣か、だな!」と言われたことが、いまだに心にひっかかっています。理由が明確につかめない言葉は予言めいて響くことがある。すべてをつまびらかにしないコミュニケーションというものもあるように感じています。

「知らない人から」の話というだけで、こんな状況を作れるとしたら、儲けものですよね。

とはいえ、あくまでこれはコミュニケーションの両面のうち片面の話だけをしているので、当然ですが知り合いとの深いコミュニケーションも必要です。ただ「知り合いとの深い共感」が宿命的に持っている身内間・内輪感・気遣い感、ひいては不完全なアイデアかもしれないという不安を払拭するための手段として、会社という組織のセクショナリズムを有効活用できるかもしれない、という仮説だとご理解いただければうれしいです。

同じ月を見ている社員がいることこそが、レジリエンスの能力を高めるもっとも大切なことではないかと思います。

玉樹さん直筆のイラスト「同じ月を見ている社員」

[構成] 三石原士

あなたの強み・弱みや能力、
適した働き方や企業風土などを、無料で診断します。
“あなたの可能性”と出会える
キャリアタイプ診断
キャリアタイプ診断
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
BOOK MARK

いいね!していただくと
最新記事をお届けします。

コメントを送る

関連する記事

テーマ一覧を見る

タグ

タグ一覧を見る