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「レジリエンス」〜ビジネスパーソンが押さえておくべきキーワード〜

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「レジリエンス」という言葉を、聞いたことはありますか。

「グローバルアジェンダ」を議論するスイスの世界経済フォーラム(通称:ダボス会議)は、2013年の冬の会議で、国の国力評価の研究成果を発表しました。それ以降、政治、経済、環境、技術、人材育成などさまざまな分野でレジリエンスというキーワードが使われるようになりました。ダボス会議の報告書でり取りまとめられた衝撃の図が、こちらです。

ダボス会議で紹介された図

この研究に日本人で唯一関わった蛭間芳樹氏(世界経済フォーラム リスク・レスポンス・ネットワーク パートナー)はこのように指摘しています。

「米国、イギリス、ドイツ、スイスを始めとしたG8、G20の先進国各国は、国際競争力と危機管理力、レジリエンスは正比例しています。国際競争力が高い国であるほどレジリエンスも高く、両方の力をバランス良く備えている評価結果が出ましたが、日本は例外的存在となりました。経済的な競争力に比べレジリエンスに関する国家の能力が著しく劣ってしまっているのです」

では、この「レジリエンス」とは、そもそもどんな概念なのか。なぜ、日本は「レジリエンス」が低いとされているのか。そして、一企業、一個人が「レジリエンス」という考えから、何を学び、どう取り組むべきかについて、検討していきます。

記事の制作は以下のようなステップを踏み、“未来を変える”プロジェクト 編集部が全ての内容を取りまとめています。

STEP 1:ロンドン・ビジネス・スクールのリンダ・グラットン教授の新著『未来企業〜レジリエンスの経営とリーダーシップ〜』日本版の出版記念を兼ね、国内企業・外資系企業の経営層・若手リーダー層、伸び盛りのベンチャー経営者、官僚、学生などを集めた80名規模のディスカッション大会を開催し、「レジリエンス」について意見を集約

STEP 2:集約した意見を基に、5〜8名のメンバーによる小規模な検討会を実施し、観点の絞り込む

STEP 3:集約された示唆・議論をとりまとめ、大企業経営層・識者への個別インタビューを実施

STEP 4:上記内容を集約し、“未来を変える”プロジェクト 編集部が本記事を取りまとめる

INDEX読了時間:8

それでは、本編です。

1.ダボス会議がレジリエンスに注目する背景

ダボス会議で「レジリエンス」が注目されるようになった背景は、気候変動に代表されるさまざまな世界共通の脅威に対して、「現状維持(サステナビリティ)」が困難になってきており、それに代わる新たなアプローチが必要になってきたという点が挙げられます。

例えば金融という側面をとってみれば、最近10年の世界金融システムと資金の移動はそれまでに比べて飛躍的に連動性を高めており、2008年に発生したリーマン・ショックのように破壊的なダメージをグローバルレベルでもたらしてしまうようになりました。

前出のリンダ・グラットン氏は著書『ワーク・シフト』の中で、こうした世界規模で問題を発生させうる変化が「テクノロジー」「グローバル」「人口」「社会」「エネルギー・環境」などさまざまな分野で起こっていると指摘しています。

テクノロジーに関する
10の注目すべき要因
テクノロジーの飛躍的発展 情報機器が低価格化する
農村部を含めた50億人が インターネットでつながる
地球上の至る所で クラウドが利用可能になる
経済生産性の向上持続で チームワークが重要になる
「ソーシャル」な参加が 活発になる
知識のデジタル化が進み リモートでの参加ができる
グローバルなメガ企業と ミニ起業家が台頭する
バーチャル空間で働き、 アバターが当たり前になる
「人工知能アシスタント」 が普及する
テクノロジーが人間の 労働者に取って代わる
グローバル化に関する
8の注目すべき要因
24時間7日間休まない グローバル世界が現れた
国際貿易の勢力図を変える 新興国が台頭した
中国とインドが急成長し グローバルな野心を強めた
途上国からの倹約型イノ ベーション逆輸入が起きる
新たな人材輩出国が 登場しつつある
世界中で都市化が進行し 都市部に人が偏る
バブルの形成と崩壊が 拡大し、繰り返される
世界の様々な地域に 貧困層が出現する
人口構成の変化に関する
4の注目すべき要因
1980−95年生まれの Y世代が台頭する
寿命が長くなり、生産活動 に従事する年齢が延びる
ベビーブーム世代の一部が 貧しい老後を迎える
国境を超えた移住、農村 から都市への移住が増える
社会の変化に関する
7の注目すべき要因
離婚一般化/小家族化など 家族のあり方が変わる
家族の変化や多様性ある 出会いが内省を増やす
女性の力が強くなり、企業・ 家庭内での役割が変わる
父親世代を反面教師に、 バランス重視の人が増える
大企業や政府に対する 信頼感が低下する
消費の拡大に対して 幸福感が以前より弱まる
余暇時間が増える
エネルギー・環境に関する
3の注目すべき要因
エネルギー価格が上昇し モノや人の移動が減退する
環境上の惨事が原因で 住居を追われる人が出現
持続可能性を重んじる 文化が形成されはじめる

 

出所:『ワーク・シフト 』 リンダ・グラットン 著

これらの変化は、世界のどこにいても避けることはできません。そのため世界各国は、「今までの状態を維持しよう、ある一定の定常環境を保ち続けることが長続きする秘訣だ(=サステナビリティ)」というスタンスから、ひとつの定常状態ではなく「何かが起きることは間違いないから、その変化とそれによって受けるダメージに耐え、吸収し、そして次の新しい均衡環境(=成長もしくは衰退)につなげられるようにしよう(=レジリエンス)」というスタンスへ変化してきました。

これこそが、グローバルアジェンダとして現在、世界中が「レジリエンス」に注目する理由です。

 

2.レジリエンスとはつまりこういうことだ

今回の議論の参加者の多くからは、そもそも「レジリエンス」という言葉の意味や捉え方について、まだよくわからない、という声が多く聞かれました。まずは、この言葉の示す意味について、深堀をしてみます。

レジリエンスのイメージ

「レジリエンス」という言葉の意味を図に表すと、上記のイメージになります。
国、組織、企業、個人など、さまざまな主体が自分たちの設定した目標に向かって進むとき、そこには外的な変化や、想定していなかった事態が発生し、それによって大きなダメージを受けることがあります。

こうしたとき、「変化に抵抗し、ダメージを抑え、創造的に飛躍することで、最後は成長につなげられる」という考え方が、現在グローバルで「レジリエンス」を議論されるときのニュアンスにもっとも近いと言えるでしょう。

例えば、アローク・ロヒアCEO率いるインドラマ・ベンチャーズという会社は、タイを拠点としてビジネスを展開する中で、1997年のアジア通貨危機において、タイのマーケット全体が冷え込み、通貨価値が暴落し、競合他社がビジネスを縮小する中で、「通貨価値が下がっているこのタイミングが、買収のチャンス」と捉え、敢えて競合他社を買収・合併するという手に打って出ます。その後、買収・合併を試行錯誤することにより、同社は「競合の中で、不振に陥っている会社を買収し、再生してビジネス拡大する」という勝ちパターンを確立。事業を世界に拡げました。
そして現在では、米国、ヨーロッパへ進出、ペットボトルの原料PEТで世界トップシェアにまで成長しています。

この点について、『未来企業』にもレジリエンスの高い企業として紹介されるユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社の島田由香取締役は、次のように述べています。

「特にレジリエンスは大切です。ユニリーバの社内における『レジリエンス』のとらえ方は、稲穂のようなものかもしれません。稲穂を押し曲げると、最初しなやかに曲がりますよね。そして、そのあとに“ビュ!”という感じで勢いよく戻ってきて、反対側にグッと伸びる。あの感覚、ダメージがあったあとに、それを機にぐいっと成長したり飛躍したりする感じ。それこそがレジリエンスのイメージです」

また、アジアを中心として、日本から電動バイクで世界のマーケットを狙うテラモーターズの徳重徹代表は、 「あるアジアの経営者は、『危機』という言葉を分解すると、『危=危ない』+『機=機会』となると言っています。その言葉の通り、何かピンチに陥ったときに、その状況を機会、オポチュニティと捉え、新しい成長に向けた仕掛け時と捉えるのが、レジリエンスだと思います」 と語ります。

現代において、グローバルアジェンダの中で語られる「レジリエンス」のニュアンスは、ここで説明したイメージであることを前提に、検討を進めます。

3.「企業のレジリエンス」を分析する「未来企業」3つのフレーム

「レジリエンス」を「企業」「個人」といったレベルで考える際に有効なのが、「未来企業〜レジリエンスの経営とリーダーシップ〜」で紹介されている「内部レジリエンスのフレーム」です。このフレームは、リンダ・グラットン氏が構成する「働き方の未来コンソーシアム」に参加するCisco、IBM、ユニリーバ、タタ・コンサルタンシーなどの各国の事例を研究し、そこから導き出されています。

レジリエンスのフレーム

単純化すると「レジリエンスの高い企業」とは、以下の3つがよい状態にあるというのが、このフレームが示す内容です。

「感情面:個人にやる気があるか?」
「内外の人間関係面:人と人がちゃんとつながっているか?」
「知恵・知識面:人々が生み出した知恵や知識が活かされているか?」

例えば、レジリエンスの高い企業は、オフィスに集まらず、自宅からのリモートワークを全社的に導入することで、社員は「感情面」で仕事と家庭のバランスが取りやすくなり、家で家族と接する時間を十分持ちながら、仕事を効率的にこなせるようになります。それによって感情面のやる気が向上し、他の社員とも積極的に意見を交わす意欲が湧き出し、結果的に「人と人の関係」を社内でもつなぐようになります。そして、人と人のつながりから生み出される新たなアイデアが瞬時にグローバルで集約され、一つ一つの知恵やアイデアがビジネスに活かされる機会が増え、結果的に生産性が向上し、リモートワークが推進しやすくなります。

議論の参加者からも、こんな声が聞かれました。

変化が速くなり、複雑さを増す社会で、精神的ストレスは日に日に高まっています。その中で仕事で成果を出すために内なるレジリエンスを高めて、生産的なサイクルを素軽く回していくという考え方は、大変興味深いものでした。(40代・男性:大手食品メーカーCIO)

このように、3つの要素が高いレベルでよい状態にある企業は、景気の動向によって急速に売上が落ち込んだ場合でも、高いやる気と余裕のある状況によって、逆境に耐え、密に検討を行い、より新しい体制やビジネスを組み立てやすくなり、結果として業績が回復しやすくなります。

このように「未来企業」の中では、さまざまなグローバル企業が、内部レジリエンスを高める施策として行っている事例が、下記のように数多く紹介されています。

■モーニングスター:「同僚のための基本合意書」で各社員が同僚に対して果たす責務を決め、共有、追跡、公表する⇒社員同士の信頼関係が深まった

■ジョン・ルイス・パートナーシップ:地域活性化の取り組みに経常利益の1%以上を費やす。パートナーは全員地域活性化の取り組みに参加することが求められる。⇒実際は経常利益1%以上が費やされている。ジョン・ルイスの店舗が地域社会の中心的な場に。

■タタ:「あえて挑んだ」賞(大きなイノベーションの取り組みで失敗した試みが評価される)⇒6年で0件から87件まで賞の候補が増える。

今回の議論の参加者からは、グローバル企業の取り組みについて、このような感想がありました。

かなり極端にみえるルールを導入して、社員の精神的活力を損なうことなく生産性を上げている企業が多いことを発見しました(40代・女性:出版社)

4.日本の社会システム・企業のレジリエンスが低下してきた構造

ではなぜ、冒頭にあったように、日本のレジリエンスが他の先進各国に比べて著しく低いとされているのでしょうか。そこには高度経済成長時代からの社会的構造が潜んでいるという点が浮かび上がってきました。

野口悠紀雄氏の著書『1940年体制」によれば、日本の社会システムは国が大きなシステムで効率的に発展するための数々の仕組みを備えており、資源を集中し、投資することで重厚長大産業を発展させ、奇跡的な経済発展を成し遂げることができたとあります。例えば、戦後の日本では全国に散らばる地方銀行が各地域の国民の預金を預かり、その預金を都市銀行へと投資し、都市銀行はその資金を重厚長大産業への投資を行う政策銀行へと集めることによって、国全体の資金が極めて効率的に重厚長大産業へ投資されました。

こうした経済成長を支えてきた多くの仕組みは結果として「大きな社会システム」「大きな企業」を生み出してきました。この「大きくなった」ことが日本のレジリエンスを考える上で、重要なポイントとなります。

有名な理論として、シロクマ理論というものがあります。これは動物の身体の大きさはより寒い地域に行くほど大きくなっていくというものです。クマを例にとると、暑い地域で暮らすクマは概して小型で、身体の大きさも1メートルそこそこ。これが徐々に寒い地域になっていくと、2メートル近くあるヒグマに。そして、北極海などに生息するシロクマともなると、実に3メートルに達する個体も珍しくありません。

これは、「身体が大きくなるほど、体積当たりの表面積が少なくなり、体温を温存しやすくなる」という理由により、進化の過程で寒い地域の生物の方が、身体が大きくなるという結果だそうです。実際、下図のように大きさが3倍のサイコロ状の物体は、元の物体より表面積は9倍になり、体積は27倍となります。すると、体積当たりの表面積の割合は、9÷27=1/3となってしまうのです。

 

これは、巨大化した企業についても全く同じことが言えます。企業が大きくなればなるほど、中の社員が外部に接する割合が減り、その結果、直接顧客とやりとりをし、顧客が何を考え、どのようなことを欲しているかを感じる機会が減ってしまうのです。

創業期のとある電器メーカーの事例では、ある地域に住む人たちが夜に明かりがなく不自由している状況を解決したいと考えていました。そこで日々研究し、コストダウンし、地域に明かりを広めていきました。この電器メーカーでは地域の人たちが購入した明かりを灯して喜ぶ姿を間近で見ながら仕事ができていたわけです。

これは、強烈な「仕事の意義」を社員に感じさせてくれます。

直接的な人と人とのやり取りが、社員の仕事に取り組むやる気を与え、それが原動力になり社員同士はいつも議論を行ったり、遅くまで一緒に働いたりします。そして、その中で産み出された知恵は、次の製品の改良に活かされていくという流れになります。まさに、レジリエンスの高い企業、と言えるのではないでしょうか。

しかし、会社の規模が大きくなると徐々に各部門が分割され、一年に一度くらいしか顧客とやりとりをしなかったり、直接的に声を聞かなくなる社員の割合が増えていきます。その一方で仕事をスムーズに進めるために社内の他の部門を上手く説得したり、納得させたりすることに注力するようになり、いつしか、働く理由を見失いやすい状況が生み出されます。

その結果、個々の社員の仕事への踏み込みが浅くなります。以前のように自分と異なった専門性のある社員と議論をしたり、部門ごとの垣根を越えて干渉しあう機会が減少し、「社内外の人間関係」が薄くなってしまいます。そして、こうした分断された状況において、個々の社員、個々の部門の中に蓄積されてきた知恵や知識は、社内で十分に活用される機会を失い、組織のレジリエンスが低下してしまいます。

参加者の一人から、こうしたコメントも寄せられました。

レジリエンスを阻むものは何でしょうか。主に大企業について、対話をし、考えました。まず、組織規模が拡大し、地域も広がると、社内の「つながり」がどうしても希薄になります。さらに、互いの『顔が見えなくなる」と性善説で組織をマネージすることに限界があり、「ルール化」が進みます。ルール化について興味深かったのは、組織はまだ小規模でも株式上場をすると、コンプライアンスが厳しくなり、柔軟性が損なわれたと感じる方のお話しでした。(篠田真貴子氏:(株)東京糸井重里事務所 取締役CFO )

 

表 1:組織が大きくなることによるレジリエンスの各要素の低下

創業初期 組織巨大化後
感情面 顧客の喜ぶ顔を間近に見て、やる気が高まる 自分の仕事の貢献相手が見えなくなり、手応えややる気が減退
内外の人間関係面 活気に溢れた社員同士が、高い熱量で日々仕事に取り組む 仕事への踏み込みが浅くなり、他の部署の面々と議論しなくなる
知恵・知識面 いつも間近で議論をすることで、知恵が集約され、実行される 各部署に点在する知恵・経験が埋もれ、活用される機会が減る

 

5.クリエイティブマインドと【共感】〜レジリエンス向上への処方箋〜

では、こうした状況を打破するために、何かよい処方箋はないのでしょうか?

ここに、一つのヒントがあります。

クリエイティブな製品を世に送り出すことで世界的に有名なIDEOの創始者デイヴィッド・ケリー氏は、その著書の中で、「クリエイティブな製品を生み出すクリエイティブマインド、そのために最も大切なのは、共感する力である」と述べています。

共感することができるということは、相手が喜んでくれる製品を考えることができるということ。そして、相手が喜んでくれる製品を考えられるということは、世の中の役に立つものをつくれるということ。

これこそが、デイヴィッド・ケリー氏が示すクリエイティビティと共感と、そして先ほどのレジリエンスにおける「やりがいのある仕事」をするための、キーとなる点です。

そして、この「共感」を得るために大切なことは、「相手との物理的な距離を近くする」ということです。そのため、IDEOは最近注目を集めている「デザイン思考」というアプローチのもと、徹底的に顧客の近くに行き、さまざまな方法を用いながら行動を観察し、相手になりきる、共感するための方法に注力しているのです。

この「共感する」ための具体的な成功例として知られるのが、ロシアにある世界一顧客満足度の高い銀行である「Probusinessbank」です。

この銀行では毎月、「もっとも喜んでくれたお客さま」と「もっともお怒りになったお客さま」に関する動画を、全行員に共有する方法を採用しています。この方法により、普段は全く顧客に接する機会がない行員であっても、自分たちがどのような顧客にサービスを提供して、それによってどんなふうに喜んでもらえたり、あるいはどんなふうに不快感を与えてしまっているか、体感できるようになっています。
この仕組みを導入して以来、同銀行では顧客サービスが劇的に改善し、現在は世界でトップクラスの顧客満足度を達成するに至っています。

このように、特に巨大化した企業、巨大化した社会システムのレジリエンス低下に対しては、この「共感」を使ったアプローチが、ひとつの大きなカギとなる可能性があります。大きな身体をしていても、「共感」という接点を身体の隅々にまで行きわたらせる方法は、テクノロジーの活用によって多岐にわたって存在し、それが「仕事のやる気」を引き出し、レジリエンスの高い組織へ変化のドライバーとなる可能性があるのではないでしょうか。

参加者からも、こういったコメントが寄せられました。

レジリエンスを起こす際にはロジックだけではなく、感情へ訴える、呼び覚ます仕組み、きっかけづくり、コミュニケーションが大切であるという点を感じました。(30代・女性:広告代理店勤務)

 

6.個人がレジリエンスを高めるためにできること

さて、それでは個人としては、どうすれば企業の中で働く際のレジリエンスを高めることができるのでしょうか。ここでは、先ほどの「未来企業」の中で紹介されている、いくつかのTipsを紹介します。

1.十分な休息を取る
まず、個人のやる気に関しては、「クリエイティビティを発揮できるように、休息時間を取る」ということが挙げられます。仕事の効率はもとより、個人が発揮できるクリエイティビティは、十分な休息や頭のリラックスによってもたらされることは、さまざまな研究によって明らかにされています。

 

2.仕事とプライベートのポジティブサイクルをつくる
「仕事が十分にこなせないまま家に帰る」「仕事のことが気になり、家でもプライベートに集中できず、家族のストレスが高まる」「家族のストレスにより自分も疲弊する」「疲れた状態で仕事に向かい、集中できず、十分に仕事に向き合えない」。このようなサイクルにはまってはいないでしょうか。もし、こうした状況が発生していたら、仕事の改善や家族との過ごし方を見直し、この悪いサイクルを断ち切ることが重要です。

 

3.仕事の貢献相手への共感接点をつくる
もしも仕事上で自分の会社が価値提供する顧客との接点があまりないのであれば、顧客との接点を普段とは違った方法でつくることで、共感する機会を増やし、自らのやる気を向上することが可能となります。例えば、マーケティング部門が実施する調査に参加させてもらったり、自分たちの製品が販売される現場に、プライベートの時間を使って訪問し、その様子を観察してみるといった方法です。もしもあなたがマネジメントの立場であれば、こうした機会の少ない社員をマーケティング部門が実施する消費者調査に巻き込んだり、先ほどのロシアの銀行の例にあったような、動画による記録と共有を試してみるのも有効かもしれません。

 

4.自分の仕事を見直す
以下の問に対して、Yesと回答している仕事に就いているかを問いなおす。
「自分の仕事は考える力を伸ばし、実験やイノベーションを可能にしているか?」
「仕事とプライベートの関係は、お互いが活力を生み出して高める源になっているか?」
「他者と協調し、濃密で深い人間関係を築いて働くことができているか?」
もしも、これらの内容にNoが並ぶようであれば、現在の仕事を見直してもいいのかもしれません。

グローバルで議論されている「レジリエンス」という言葉は、現代において直面する変化に対して、解決し、取り組むべき新たな課題を、企業単位、組織単位、そして個人単位に示唆してくれています。

参加者からも、この「レジリエンス」を、企業だけでなく個人の単位で捉えるという点について、こんなコメントがありました

「レジリエンスとは、仕事や人生を面白く感じることのできる『スキル』だと思う(50代・男性:大手外資系消費財メーカー日本代表)

一度、自分自身のレジリエンスを、本記事で紹介した『未来企業」のフレームに沿って見つめ直し、今日から何ができるか、検討してみてはいかがでしょうか。

<< “未来を変える”プロジェクト 編集部より >>
変化が激しい社会の中で、「レジリエンス」という新たなキーワードが生まれています。“未来を変える”プロジェクト 編集部では、個人が今後の変化を受け入れ、楽しみ、自己変革し続けるひとつのヒントとして、このレジリエンスというキーワードを取り上げてみました。
本プロジェクトは、多様なビジネスパーソンの知的交流によって新たな知見や視座を得る場です。これからもDODAはプロジェクト参加者とともに、この先のありうる未来を語り合い、未来のはたらくについて、さらに深掘りしていきます。

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