ログインして記事ブックマーク、コメント投稿などすべての機能を使う。

close

テーマ

ユニリーバとFiNCの取締役に、最高に集中力を高めるマインドフルネスを実践しているか聞いてみた(後編)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
BOOK MARK

ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社取締役人事総務本部長の島田由香さんと、モバイルヘルステクノロジーベンチャー株式会社FiNCの取締役CTO南野充則さんによる、「マインドフルネス」をテーマとした対談の後編。

島田さんが個人的に実践する「プレッシャーとリラックスによる高い集中(=マインドフルネス)」の深掘りから始まり、最後はお二人がそれぞれの組織で実践している「マインドフルネス」の具体的アプローチをご紹介します。

ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 取締役人事総務本部長 島田由香

>(前編はコチラ)ユニリーバとFiNCの取締役に、最高に集中力を高めるマインドフルネスを実践しているか聞いてみた(前編)

今回のアウトラインです:

INDEX読了時間:5

それでは、本編です。

ユニリーバ 島田さんが大泣きした「プレッシャー」

後編の対談は、組織で新しい挑戦をするときの始め方について、南野さんが島田さんに質問するところからスタートしました。

南野  島田さんは会社で新しいことを実験するとき、どうやって始めているんですか?

島田  実験は、「これだ」と信念がある場合、共感する人が数人いたらすぐやっちゃいますね。社内から反対されることもありましたが。新しいことは反対されることが普通だと思っています。失敗といっても、予算を使うくらいしかリスクはないんです。

ただ、大切にしたいこととして、リーダーである私と方向性は一緒であってほしいと思っています。今朝、新しいメンバーが人事部に異動してきたので、イントロダクションをしたのですが、ゴールへのアプローチの仕方、進み方は違っていてもよいけれど、大きな方向性は一緒であることを大事にしていることを明確に伝えました。「私はこっちだけど、反対の方向を向いている人もいる」という状態ではチームにはならないと伝えています。そして、なにか疑問やこれは違うなと思ったらいつでも遠慮なく言ってほしい、ということも。

方向性の話をしたときに、私のスタイルの話もしました。私はこういうことは好きで、こういうことは嫌いで、急に発想が湧いてきていろいろ言うことも多いって。でも、それは先を見にいってひらめいたことを言語化しているだけなので気にしないで、と伝えています(笑)そして大体の場合、そのひらめきが現実化することが多いから、最後は「Believe me」と伝えています(笑)

南野  個人とチームと会社と、すべての方向性が一致しているのが一番理想ですよね。「Believe me」だとプレッシャーを感じることもあるんじゃないですか? それが集中状態になるためのプレッシャーだったりするんですか?

島田  これってプレッシャーだなと感じるようなことは、あまりないですね。これまでを振り返ると、仕事人生の中でプレッシャーだと思ったのは一回か二回。それって、鈍感なのかもしれないですね。

そのうちの一回は、「取締役になるんですよ」と言われたとき。当時の上司から、「退職することになったから、後任としてお願いね」と言われ、人事部長になるということについては嬉しくお受けしたのですが、そのあと一週間くらいしてから、「ちなみに人事部長になるということは、取締役になるということだからね」というのを聞いて、取締役というのが意識の中に入っていなかったので、びっくりしていまい、「ちょっと待って、取締役ってなに?」って、急に怖くなっちゃったんですよね。

プレッシャーというのは、私には怖いという感じですかね。経験したこと無いし、なんだかすごそうな印象だし、責任重大だし、私できるのかな? と怖くなっちゃったんです。そのときは、家に帰って、大泣きしました。どうしようって。

そうしたら、うちの子に「大丈夫だよ、ママ。ママらしくやればいいんだよ。いつも人にそうアドバイスしてるでしょ」と言われ、「たしかに」と一気に力が抜けてリラックスしました。あんなふうになったことはなかったですね。これが、自分がこれまで仕事をしてきた中で、私が感じた大きなプレッシャーでした。

「リラックス」できる経営チームの大切さ

島田  日常での仕事上のストレスっていう意味でいうと、「伝えたいことが伝わらないとき」に感じるかな。例えば、役員会などで違う部門でお互いの利害が先に立ってしまうような議論になってしまうケース。そういう意味でいうと、ストレス、リラックスの図でいうところの「リラックス」「安心・安全」というところがここでも関係してきます。

安心・安全な場を、役員会の場で作ることをいつも心がけています。組織ピラミッドの上のほうで安心・安全の場で会話する状況ができていたらいいし、そこが逆にいがみあったり、無関心だったり、お互いに信頼できなかったりすると組織全体に影響が出ます。現在の経営チームに入って3年になりますが、本当にチームワークがよくなっていると感じます。

南野  どうやって変化してきたんですか?

島田  やっぱり、リーダーですね。リーダーのあり方がすべてだと痛感する日々です。当社のCEOは、ビジネスとして勝つということにものすごいパッションをもっているんですが、同じかそれ以上に人にパッションがあるんですよ。人事としてももちろん人が大事だし、ビジネスで勝つというのも大事。それを人事を通じて実行するのが私のミッションなのですが、彼は「ビジネスと人」、私は「人とビジネス」という捉え方で意思の疎通ができると感じます。

信頼・安心・安全、自己開示ができる、そういう場をいかに作るのかが大切ですよね。経営陣がリラックス・安心というのは、組織全体にとって、とても重要だと思います。

組織として取り組む「マインドフルネス」

FiNCの南野さん、ユニリーバの島田さんが、「個人として実践している、ストレスとリラックスによるマインドフルネス」というテーマをお話したあと、話題は「お互いが運営する組織の取り組み」に移りました。

株式会社FiNC取締役CTO 南野充則

南野  私が組織運営で意識している観点が二つあって、一つは社員の健康が害されて、仕事以外のところに意識がいってしまっていないかという観点。もう一つは、さらに仕事に集中できる状況かどうかという観点です。

健康以外のノイズをカバーしてあげることも、リーダーの大事な役割だと思っています。個人的にやっていいと思った内容や効果がありそうな内容は、社内のメンバーにも共有したり、一緒にやったりとサポートしてあげたいなといつも思っています。例えば、私がジムに行くのもストレス発散になるし、運動をしていると普段の動きもきびきびしてくる。ちょっと身体がだるいというのも、パフォーマンスにおけるノイズなのでのぞいてあげる。

島田  健康というのは、ベースですよね。健康じゃないと、好きなことができないし、意識やエネルギーが別のところにいってしまう。昔ながらのビジネスの風潮だと、そういった話は「女々しい、論理的じゃない」といった、いわゆる武士道的な滅私奉公と背反するなどと受け止められがちだったんだと思います。言い換えると、からだの不調、本当のコンディションを把握せずに頭でばかり考えてしまっていたのかなと。

でも人間なので、からだの影響というのは、実はとても大きいんですよね。日本語でも、「頭にくる」「腹に落ちる」など、からだにまつわる表現は多いですよね。感情はからだに、特に内臓に溜まりやすいので、そのサインを聴くのはきわめて重要だといつも捉えています。

当社でいうと、「アレクサンダー・テクニーク(Alexander Technique)」などを取り入れていますね。役者さんが使う筋肉のトレーニングがベースになっているアプローチです。仕事をしているときの姿勢、首の位置を変えるだけで疲れ方が違ってくるんですよ。椅子にもっと仕事をしてもらうという感じです。U-理論、マインドフルネスを取り入れた研修も実施しています。

ポイントは、最後はやっぱり、会社のパフォーマンス。健康への取り組みは、その人が本来もっている可能性をいろいろ引き出せる。それが結果として会社の業績につながる。ここが大切だと思っています。

南野  FiNCの社内でもいろいろ実験していて、エンジニアはイスやデスクとかにこだわっていますね。ハーマンミラーさんと協働して、どんなものがいいかを試行錯誤しています。それから、社内に管理栄養士やトレーナーがいるので、管理栄養士によるバランスの取れたヘルシーな手料理を食べたり、トレーナーによるエクササイズを就業時間に取り入れたりしています。

あとは、当社の事業にもなるわけですが、法人向けの健康増進アプリを社内で導入しています。弊社は痩せている人しかいないので、ダイエットというより、みんなで食事投稿などにコメントして健康意識を高め合う社内SNSみたくなっています(笑)。他の会社では、栄養士さんと企業内の社員がグループを組んで健康管理をすると、平均6キログラム体重を落としたりしています。タクシー大手の日本交通さんでは、ドライバーの方々の疲労軽減にも効果が出ているようですね。

最近は、当社での全体会議の前に、全社員100人くらいで瞑想をはじめました。瞑想をした後で会議に入ると、気持ちが落ち着いて会議に集中できるんです。

島田  100人、すごいですね! 当社ではまずは興味をもった人の間で取り組むようになり始めたくらいです。

南野  FiNCでは社員全員でやっているわけですが、「効果あるの?」と瞑想に対して半信半疑の人もいますよ。

島田  「効果あるの?」という方には、お医者さんや脳科学者の話が響きますね。長期の瞑想経験者と、初心者との脳に起こっていることの差の話とか。瞑想している人のほうが、プランニング、意思決定などをあつかう前頭葉のはたらきが活性化しているという臨床結果があります。これは、瞑想による前頭葉などの脳の進化とも言えるので興味深いですよね。頭で思考して脳を使うよりも、瞑想で使うほうが脳が育つみたいですね。こんな論理的な裏付けがあると、「じゃあやってみようか」という方がまた社内に増えるかもしれないですね。

ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 取締役人事総務本部長 島田由香

今回のまとめ

以上、2回にわたってお届けしたユニリーバ島田さんとFiNC南野さんの対談、いかがでしたでしょうか?後編である今回のまとめとして、以下のような示唆が特に印象的でした。

■島田さん個人の経験より:

  • 仕事上できわめて高いプレッシャーの場となる経営取締役会も、メンバー同士の価値観がすり合い、関係性が強化され、リラックスもできる場になることで、「事業上の高いプレッシャー」→「信頼できるメンバー同士のリラックス」→「集中した議論や、質の高い意思決定」につなげることができる。これはまさに、前編でも提示した図表に示す通りの関係となっています。
マインドフルネスになるための3つの条件
  • 特に、経営チームという「放っておいてもストレス・プレッシャーは高まる」という状況の場合、意図して作るべき場は、「経営メンバー間であっても、リラックスできる場である」という観点。


■FiNC/ユニリーバの取り組みより:

  • ハードワークしている組織であればあるほど、からだの疲れやダメージによって、無意識に集中しづらい状況になっているおそれがある。
  • かつては女々しい、非論理的と捉えられていた「健康への取り組み」「ダメージの軽減」といった試みも、実は科学的根拠があり、実際に導入してみると大きな成果につながる。

個人として、組織として、今回の前編・後編で紹介されたようなきわめて高い集中状態を仕事の場でも作り出し、それを持続させるためのアプローチに取り組まれてみてはいかがでしょうか?

PROFILE

ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 取締役人事総務本部長 島田由香
島田由香
ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 取締役人事総務本部長
日系人材ベンチャーに入社。2000年、コロンビア大学大学院留学。2002年に組織心理学修士を取得し、米系大手複合企業入社。2008年にユニリーバ入社後、R&D、マーケティング、営業部門のHRパートナー、リーダーシップ開発マネジャー、HRダイレクターを経て、2013年4月に取締役人事本部長に就任。学生時代からモチベーションに関心を持ち、キャリアは一貫して人・組織に関わる。マインドフルネスNLP®️トレーナー。
株式会社FiNC取締役CTO 南野充則
南野充則
株式会社FiNC取締役CTO
1989年生まれ。東京大学工学部卒。大学在学中に株式会社MEDICAなど2社を創業する。また株式会社イトクロより出資を受けソーシャル就活サイト「JOBOOK」開発。 東京大学在籍中に「再生エネルギー蓄電池導入シミュレーションの開発&研究」というテーマで国際学会で世界一の座を争い「BEST STUDENT AWARD」を受賞する。 その他にも薬価検索サイト「MEDICA」、大手コンビニチェーンに導入されているOTCレコメンドシステム「ANZOO」、無電化地域向け電力管理アプリ等の開発も手がける

【 本記事の読者にはこちらもお薦めです 】
ハイパフォーマーだけが実践する、本当のマインドフルネスの活かし方
マインドフルネスのフレームと具体的なアクションをご紹介します。
https://mirai.doda.jp/theme/wellness/mindfulness/

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
BOOK MARK

いいね!していただくと
最新記事をお届けします。

コメントを送る

関連する記事

連載一覧を見る

タグ

タグ一覧を見る